123号室 ◇ren.n◇ (ページ8)

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『いやぁ、びっくりしたよ！いつの間にか2人仲良しになってるんだもん！』

紫耀が帰って、2人きりになった病室。

紫耀のおかげで、私たちの間にあった厚い壁が何となく薄くなった気がする。

｢あんな友達いてええな。Aは。｣

廉が俯きながら呟く。

『ほんと、紫耀には感謝感謝だよ！
廉は…？友達とかいないの？』

｢俺、生まれてからずっと病院生活やから。
友達も何も、人との関わりがなかった。｣

『…そっか。』

｢だから、俺、最初Aに話しかけられた時、なんて答えたらええかわからなかったし、友達って物自体が…。｣

『ごめんね…！そんなこと知らなくて…。』

急に申し訳なくなってしまった。
そりゃあ急に話しかけられたら怖いよね。

｢でもな、正直めっちゃ嬉しかったんやで？
友達とか初めてやったし。｣

でも、廉に言われたこの言葉によって、その申し訳なさは無くなった。

『それなら。良かった！』

私たちはこの後も色々なことを話した。

廉も私と同じで心臓に病気を抱えてること。
そして私と同じように回復に向かってること。
弟がいること。
黒が好きなこと。

なんでもないようなことだけど、
話している時間がとても楽しくて。

馬鹿みたいに笑って。

これが普通の青春なのかな。
病室で過ごす青春か。

｢ほな、寝よか。｣

『おやすみ〜。』

一日の終わりの合図。

なぜだろう。

いつの間にか、2人の空間が
妙に緊張するようになってしまった。