123号室 ◇ren.n◇ (ページ1)

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5歳の頃、この123号室に初めて入った時。
泣いて泣いて嫌がった。

まだ生まれて5年しか経ってないのに、
既に生死の境界線に立たされた私。

心臓の病気が見つかり、この123号室で過ごすようになってもう12年経つ。

・

ーもう高2なんだ。

それなのに、私は学生らしいことの1つたりともしたことが無い。

いや、｢学生｣どころか｢普通の人間｣として。

滅多に外になんか出れないし、
123号室に入院してるのは私だけ。
話す相手もいない。

それなのに毎日毎日、治療と急に起こる胸の痛みに悩まされて。

つまらなくて、
空っぽで、
生きてる意味なんてない毎日。

でも、そんな生活に
少しだけ価値を与えてくれるのは、
幼馴染の紫耀。

家が隣同士で、小さい頃はよく遊んでた。

私に病気が見つかってからというもの、
週に1回、必ずお見舞いに来てくれる。

本当は毎日来てほしいけど、紫耀も自分のことが忙しい。

アホだけどスポーツ万能で、明るくて、かっこいい紫耀は、いつもみんなの人気者だから。

・

私に普通の日々が訪れるのは

いつになるのかな。