deepred miracle <sho.hirano> (ページ32)

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32話-sho.side- ページ32

『廉…？』

廉｢ちょっと来てくれん？｣

言われるがままに歩き、着いたのは人気のない通りだった。

『どうしたの？』

廉｢あのさ、Aのこと好きなん？｣

着いて早々言われたのは、予想もしなかった言葉だった。

『な、なわけないじゃん。なんで俺がAのこと…』

廉｢なんで呼び捨てしとるん？会ったのは2回だけのはずやろ？その2回のうち、呼び方について話してたのは聞いたことないけど？｣

『…それは。』

廉｢リップ、香水、コート。｣

廉｢Aは毎日大切にあのリップ付けてきとるよ。真っ赤なリップ。俺があげたのは忘れてたみたいやけど。｣

『なんでそれを…』

廉｢なぁ、なんで紫耀は俺の欲しいもの取っていくん？｣

廉｢全部俺が先なのに。事務所に入ったのも俺が先やのに注目されるのはいっつも紫耀だった。Aと会ったのも俺が先やのに、Aが好きになったのは…。｣

『なんか勘違いしてる？』

廉｢さっきAと話したけど、｣

『おい廉、このことAにも話したの？』

廉｢それが何か悪いん？｣

『Aは不安抱えて生きてきたんだよ？それなのに、急にこんなこと言われたら…』

廉｢なんでそんなこと知っとるん？俺はAのことなんも知らん。なんで紫耀は知っとるん？｣

廉｢……一体何をしとるん？｣

『…ただ俺は！』

廉｢もうなんの言い訳も聞きたくない。｣

廉のこんな表情を見たのは初めてだった。