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そんなに高さはなかったが、急なことで、足をひねった。


だが、こんなものも霊力は治してしまうのだ。



霊力ってすごい。


「新しく結界を張るのが一番か…」


足がほつれそうになりながら、手を引かれ、私は今ものすごいスピードで走っていた。



『わっ』


躓いて、手をつこうと片手を出したら、薬研さんが助けてくれた。


急にスピードが落ち、逆につこけそうになってしまった。




薬研さんの黒い服が近くに来て、体が支えられた。



なんていうか…、この体勢、抱き合ってるみたいで照れるなー。


薬研さんは私の首に腕を回した。



必然的に私は腰を曲げて体勢を低くする。



「ついてこいよ」


低い声で、耳元に囁かれた。



身震いした途端、薬研さんの腕は外れて、私を置いて走っていった。


『え、いや、まっ』


待ってください。


私の足は動き出した。



腕は自然に振られて、髪が風になびく。


前髪が巻き上がって、湿った冷たい空気が喉を通る。


濡れた草が足にはりつく。


乾いてる背の高い草は容赦なく腕や足に傷をつけた。



走ってる。


薬研さんに着いていけるような、速さで。



??



自分の体が、勝手に動いてる。



体育大会あったらぶっちぎりの一位だな。


陸上部にもバスケ部にも勝てる自信がある。


それくらい、いや、もう、あり得ない速さだった。



薬研さんの背中はずっと同じ大きさだった。



『は、はっはっ…っは』


心の中は余裕だけど、これね、きつい。



なんか笑ってるみたいに息があがってるな。


『はははは…げふぁっ』



本当に笑ってみたら気管に唾が。


くっるし。



顔をあげると、小さい蔵?みたいなのがあった。


小さいといっても、あの屋敷と比べてみると、だ。



じゅうにぶんに大きい。



蔵が近くになるにつれて、スピードは落ちていった。


薬研さんが立ち止まって、私の体も止まった。




暗いせいか、以外にきれいだった。


威圧がすごいけど。




ががが、がた


薬研さんが蔵に入り、私も無意識に入った。



「ん」


薬研さんがキメ顔で両手を広げた。


私の足は一歩一歩、薬研さんに近づいていく。



いや、思いっきり抱きついてみたいよね。


こんな美少年目の前にいたら。



そんな思いは届かず、ゆっくりと薬研さんに抱きついた私。



「もういいぜ」


そう言われて、がくんと崩れ落ちた。


疲れた、それだけなんだが、さっきまでのはどういう原理(?)だったんだ。



私は埃にまみれながら息を整えた。

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ニャンコソバ2(プロフ) - 若葉さん» うわぁあ!!まだ見てくださってた方が…!!ありがとうございます頑張れます…!! (2020年11月8日 10時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 更新待ってます! (2020年11月8日 1時) (レス) id: 5ef262c096 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - 幸別愛友さん» ありがとうございますー!!!これからもどうぞよろしくお願いします!! (2019年12月14日 6時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - この世界観すごく好きです!続きがすごく楽しみです!待ってます!! (2019年11月12日 23時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - さらさん» うわぁあありがとうございます!!!!!オチは悩み中です…。いきあたりばったりで書いてる駄作者なので…。 これからも応援よろしくお願いしますっっっ (2019年11月5日 22時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニャンコソバ | 作成日時:2018年12月31日 17時

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