警鐘 ページ10
真っ白な空間。ふわふわとして、ぼうっと景色が見える。まるで幽体離脱をしているような感覚だった。直後、｢ああ、これは夢なんだな｣と確信。
｢ねえ、＿＿＿＿｣
まず誰かの声が聞こえた。その声の主は長い黄金の髪を横で一つに括り、鳥のような人のような、よくわからない生き物だった。人の形に見えるのに、耳と腕からは翼が生え、足は鳥の足そのもの。ほんの少し錆びた金の冠をして──
(……あれ、)
この人は、前にも見た。どこでだったかは覚えていない。でも、確かに見たはずだ。
顔は見えないが、声色からして、恐らく少女と言える年齢。華奢な肉付きもそうだと言えるだろう。
｢ん?｣
その少女の隣に居座る1人の青年。こちらもまた顔は見えない。その上、何故かこの人は特に姿形がはっきりとしない。白い背景に馴染むように、霧(若しくは靄)で隠れてしまっている。ただ、青い三つ編みがうっすらと見えるだけだ。
｢私ね、＿＿＿＿に会えてよかったよ｣
金髪の少女の声が、一部掻き消されてうまく聞き取れない。口の動きも見れないため、何を言おうとしてるのか分からない。
｢なんだよ、いきなり｣
青年は問う。
｢…だって、＿＿＿＿に出会わなければ、私はずっと…。…そう、ずっと人間を憾み、憎むばかりだったから｣
｢＿＿＿＿…｣
今度は少女と青年、双方の声の一部が聞き取れなかった。安直に予想するに、きっとあれは互いの名前。
(私は、この2人を知っている)
記憶の奥底に、ぼんやり佇んでいるみたいに。
｢ねえ、｣
｢っ!!｣
金髪の少女は知らぬ間に私の目前に立っていた。手を後ろで組んで、顔をこちらに近づけて。それなのに、顔は一切分からない。俯いている訳でも、髪で顔が隠れているわけでもない。ただクレヨンのようなものでぐちゃぐちゃに掻き混ぜたような跡が邪魔をして、よく分からないのだ。
｢ねえ、｣
口はどこ。目はどこ。どうやって話しているの。どうやって私の存在に気づいたの。
｢本当は、気づいてるんでしょ?｣
｢────は｣
口の場所も目の場所も分からないそれは、にたりと笑っているんだと本能がそう告げている。
｢逃げる?逃げないよね。分かるよ｣
駄目だ、これ以上こいつに近づけば、私の中にある何かが確実に壊れる。だけど足が言う事を聞かない。警鐘は鳴り響いていると言うのに。
数歩距離をとった私をよそに、そいつ(＿＿＿)は鳥足を踏んで1歩1歩ゆっくりと、私に近づいてこう言った。
｢だってあなたは────｣
*
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紅妃(プロフ) - 睦月サイハさん» コメント有難う御座います！ここのところ更新してなくて本当に申し訳ありません。わたくしめには勿体ないお言葉を頂けて、本当に嬉しい限りです。そろそろ話が進むので、気長に待っていただければ幸いです！ (2017年10月12日 0時) (
レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
睦月サイハ - あの、更新頑張ってください！とても面白いし、続きが気になります！ゆっくりで良いので頑張ってください！応援しています！ (2017年10月11日 23時) (レス) id: 78af19d42e (このIDを非表示/違反報告)
紅妃(プロフ) - ゆみさん» 最新話の感想コメント有難う御座います！やっと今まで書きたいところを書けたので、読者様にもそう言っていただけてとても嬉しい限りです！みんなが無事でいられることを私も祈ります… (2017年7月8日 16時) (レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - シェルの正体は何者でしょうか 続き気になります 何かたくらんでいるのはあきらか みんな気をつけて (2017年7月8日 13時) (携帯から) (レス) id: a64fcc18a2 (このIDを非表示/違反報告)
紅妃(プロフ) - ゆきさん» 感想コメ有難う御座います!そう言っていただけるなんて光栄です、頑張ります!!；；；； (2017年5月25日 8時) (レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅妃 | 作成日時：2016年12月6日 1時
