〜7〜 ページ8
｢兄王様の言動から、Aの立場が“スパイ”であれば、親しい間柄であっても宜しいという事を読み取れました｣
｢…｣
｢ならば、現状の僕と佐々木Aとの関係には何も問題ないのでは?｣
我ながら酷い屁理屈を言ったものだと思う。然し、引けを取るつもりは一切無い。
先程よりも、この部屋の空気がうんと強ばった気がする。
｢紅覇｣
紅明ががしがしと頭を掻きながら、紅覇の目前へやってくる。紅覇は静かに固唾を呑む。
｢少し、頭を冷やしてきなさい｣
｢っ!｣
｢屁理屈だなんて、あなたらしくないですね。従者を想う気持ちは分かりますが、たった1人のためにそこまで仰る…ということは、矢張り、あなたたち2人はそういう関係なのでしょう?｣
｢…そうだよ。…そうだけど、｣
｢紅覇｣
今度は紅炎が紅覇の言葉を遮った。紅炎はじっとその場から動かず、続けて、
｢今、自分にできることとはなんだ。ただ1人の従者を想うが故にできることは｣
と言った。
｢…………………僕は…｣
言葉に詰まる。今の自分には、｢Aに国を作ってもらって、政略結婚という形で同じときを約束する｣か｢自分が皇子という立場から退任する｣という最悪の手段しか思いつかない。勿論、そんなことはしたくないししないつもりだ。
今の紅覇には、顔を苦くして拳を強く握り、無言を貫くしかなかった。
｢紅覇。あまり身勝手が過ぎる行動は慎め。今度は宮廷内だけでなく、民にまで非道な目に遭わされるぞ｣
それはつまり、Aとの関係を断ち切れということだった。と言っても、主従関係のことではない。親しい間柄であることを、だ。
｢それでもいい｣と言いかけたところで、思い留まった。これ以上自分の身勝手気ままな言動で紅炎たちに迷惑をかけてはいけないと。
開きかけた口を結び、握り拳を頭前で合わせた。
｢……御意に｣
今は大人しくするしかない。国の安寧を願う者達のためにも、Aのためにも。
｢紅覇、貴方そろそろマグノシュタットへ進撃する支度があるでしょう｣
紅明が場の空気を切り替えるためか、突拍子もなく別の議題を持ち出した。
｢あ、い、いや…。…まだ｣
｢なら、今してきなさい。まだ時間はありますが、早いに越したことはないでしょう。念入りに確認もできますし｣
｢…そうだね、してくるよ。ありがとう明兄｣
紅覇は再度煌式のお辞儀をして、紅炎の部屋を後にする。それを見届けた紅明は、再び紅炎へと視線を移しては小さく溜め息を零した。
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紅妃(プロフ) - 睦月サイハさん» コメント有難う御座います！ここのところ更新してなくて本当に申し訳ありません。わたくしめには勿体ないお言葉を頂けて、本当に嬉しい限りです。そろそろ話が進むので、気長に待っていただければ幸いです！ (2017年10月12日 0時) (
レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
睦月サイハ - あの、更新頑張ってください！とても面白いし、続きが気になります！ゆっくりで良いので頑張ってください！応援しています！ (2017年10月11日 23時) (レス) id: 78af19d42e (このIDを非表示/違反報告)
紅妃(プロフ) - ゆみさん» 最新話の感想コメント有難う御座います！やっと今まで書きたいところを書けたので、読者様にもそう言っていただけてとても嬉しい限りです！みんなが無事でいられることを私も祈ります… (2017年7月8日 16時) (レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - シェルの正体は何者でしょうか 続き気になります 何かたくらんでいるのはあきらか みんな気をつけて (2017年7月8日 13時) (携帯から) (レス) id: a64fcc18a2 (このIDを非表示/違反報告)
紅妃(プロフ) - ゆきさん» 感想コメ有難う御座います!そう言っていただけるなんて光栄です、頑張ります!!；；；； (2017年5月25日 8時) (レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅妃 | 作成日時：2016年12月6日 1時
