〜20〜 ページ23
おかしい。
────合図はちゃんと聞こえた筈だ
オカしい。
────時計は進んでいる筈だ
オカシイ…
────…私がおかしいのか…？
｢────なに、これ｣
世界が、
時が、
空間が、
次元が。
｢…………“止まってる”｣
*
合図を切った直後の姿勢のままのイレーヌ先生。隣に座るアリアやその周りにいる一辺の魔導士たちまで、ただ一点を見つめて永遠と同じ表情を一切崩さない。空を飛ぶ鳥は空中で1mmたりとも動く気配すら見せず、周りの音すら掻き消されたかのようにしんと静まり返っている。
｢…………｣
突然のことに驚きを隠せず暫く放心していると、自分とは別にたった一人、動ける者がいたことに気づく。
｢アラジン…！｣
｢…………｣
駆け寄って彼を伺ってみるが、その様子を見るからにどうやらこの状況を把握してるわけでもなさそうだった。
｢おねえさん……｣
｢アラジン、これ……どうなってるの？私たち以外の人たち、みんな固まって……!!｣
｢わからない。けど、取り敢えず落ち着こう。慌てても仕方ない。現状を理解するのに必要な情報を集めよう｣
｢う、うん｣
彼はやけに落ち着いて見えた。
*
別行動は危険だということで、闘技場を2人で散策を始めてどれくらい経っただろうか。
｢僕たちの他にも動ける人がいるかもしれない｣というアラジンの意見に賛同して、大声を張り上げて歩き回ってみるも、そんな人たちは出てくる気配すらしない。
｢なんでこんなことに……｣
｢……｣
黙り込むアラジンの横顔からは、何かを考えているようにとれる。私自身も叫んでいるだけじゃ、打開策など掴めたものじゃない。なにか、心当たりはないものだろうか。
｢お姉さん｣
｢ん？｣
｢Aお姉さん、なにか隠してること……あるでしょ？｣
一瞬、私の時までも止まったような気がした。
アラジンの眼差しに冷や汗が背中からぶわりと溢れだし、脈拍が速度を増す。なぜだか目は逸らせずに瞳孔だけが小さくなる。
｢な……なんで？｣
笑顔を諂って漸く口火を切るものの、あまり上手く笑えていないような気がする。アラジンの眼差しが、私のことを見抜いているように思えてくる。
｢だって、今日……なんだか変だよ。朝の食堂で会った時から、すごく無理をしている気がする。無理に笑って、自分の気持ちを押し込めてるような感じがするんだ。……あくまで“気がする”ってだけだから、僕の気の所為かもしれないけど……｣
｢────｣
※一部誤字を修正
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紅妃(プロフ) - 睦月サイハさん» コメント有難う御座います！ここのところ更新してなくて本当に申し訳ありません。わたくしめには勿体ないお言葉を頂けて、本当に嬉しい限りです。そろそろ話が進むので、気長に待っていただければ幸いです！ (2017年10月12日 0時) (
レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
睦月サイハ - あの、更新頑張ってください！とても面白いし、続きが気になります！ゆっくりで良いので頑張ってください！応援しています！ (2017年10月11日 23時) (レス) id: 78af19d42e (このIDを非表示/違反報告)
紅妃(プロフ) - ゆみさん» 最新話の感想コメント有難う御座います！やっと今まで書きたいところを書けたので、読者様にもそう言っていただけてとても嬉しい限りです！みんなが無事でいられることを私も祈ります… (2017年7月8日 16時) (レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - シェルの正体は何者でしょうか 続き気になります 何かたくらんでいるのはあきらか みんな気をつけて (2017年7月8日 13時) (携帯から) (レス) id: a64fcc18a2 (このIDを非表示/違反報告)
紅妃(プロフ) - ゆきさん» 感想コメ有難う御座います!そう言っていただけるなんて光栄です、頑張ります!!；；；； (2017年5月25日 8時) (レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅妃 | 作成日時：2016年12月6日 1時
