〜15〜 ページ18
闇のように深い容姿はみるみるうちに淡い光の粉とともに純白へと変化していく。三つ編みは解け、だぼったいズボンは短くなり細い素足が露になる。
変化と同時に振り向いた“彼”は、“彼女”──シェルと呼ばれる少女の容姿を纏っていた。否、纏っていたのは“彼”ではなく、“彼女”の方だったのだ。
｢ああ、いつぶりでしょうね。紅炎様。半年前?それとももっと前かしら。時間がおかしくなっているからもうよくわかりませんね｣
彼女は口元を抑えながらコロコロと微笑む。しかし以前と変わらない筈のその笑顔には異質さえ感じられた。
｢シェル……貴様、今まで何をしていた。それも、シンドリアで｣
｢ナイショです｣
張り付いた空気であるにも拘らず、シェルは口角を上げたまま即答で返す。紅炎は黙ったまま彼女を見据えるが、彼女もまた怯むことなく目を細めた。
「だって、私を捨てた紅覇様のいる国の者にそんなこと訊かれても答える義理なんかないですよ｣
「なら今の貴様はただの不法侵入者と言うことになるが」
「あ、それずるいです。だったら、さっきのこと以外でなら答えましょう。なんでも訊いてください」
以前と同様の甘ったるい声が、紅炎はどこか懐かしさを感じている。一つ呼吸を置いてから再び口を開き、
｢紅明はどこだ｣
再度彼女と目を合わせると、予想外の質問が来たと言わんばかりにシェルは目を丸くする。
｢……気付いてらっしゃったんですね。先程の紅明様が私だったってこと……｣
2人の話声以外に物音ひとつ立たない室内に、シェルの含み笑いが微かに広がった。
｢無駄口は要らん。答えろ｣
｢仕方ありませんね、これくらいは教えてあげますよ。……もう、この世界にはいません。詳しいことは教えられませんけどね｣
紅炎はとうとう、ただへらへらと笑っている彼女に痺れを切らしたのか、彼女の胸ぐらを掴む。
相変わらず彼女は驚嘆の声すら上げず、自身を見下す彼の眼をじい、と見つめ返しているだけだった。
｢……紅炎様、女性に暴力を振るうなんて随分と｣
｢詳しく話せ｣
｢……話しても忘れちゃうくせに｣
｢────は｣
先程の様子とは打って変わり、彼女の表情からは笑顔が消える。魔女のような冷酷な声色に、見開かれた瞳の奥にはぐちゃぐちゃと闇が渦巻いている様にも窺えられた。
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紅妃(プロフ) - 睦月サイハさん» コメント有難う御座います！ここのところ更新してなくて本当に申し訳ありません。わたくしめには勿体ないお言葉を頂けて、本当に嬉しい限りです。そろそろ話が進むので、気長に待っていただければ幸いです！ (2017年10月12日 0時) (
レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
睦月サイハ - あの、更新頑張ってください！とても面白いし、続きが気になります！ゆっくりで良いので頑張ってください！応援しています！ (2017年10月11日 23時) (レス) id: 78af19d42e (このIDを非表示/違反報告)
紅妃(プロフ) - ゆみさん» 最新話の感想コメント有難う御座います！やっと今まで書きたいところを書けたので、読者様にもそう言っていただけてとても嬉しい限りです！みんなが無事でいられることを私も祈ります… (2017年7月8日 16時) (レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - シェルの正体は何者でしょうか 続き気になります 何かたくらんでいるのはあきらか みんな気をつけて (2017年7月8日 13時) (携帯から) (レス) id: a64fcc18a2 (このIDを非表示/違反報告)
紅妃(プロフ) - ゆきさん» 感想コメ有難う御座います!そう言っていただけるなんて光栄です、頑張ります!!；；；； (2017年5月25日 8時) (レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅妃 | 作成日時：2016年12月6日 1時
