〜9〜 ページ12
｢…さん、……A…Aさん、起きてください。風邪をひきますよ。Aさん｣
ゆさゆさと肩を揺さぶられ、意識が覚醒する。数回瞼を瞬かせ、辺りを見渡し、状況を把握した。
今朝も汗だくの状態で目が覚めたが、どうしてか夢で見た内容は思い出せない。なにか怖い夢だったような気がする。
(だったら無理して思い出す必要はないか)
目を擦りながらぼんやりとそんなことを考える。
どうやら今朝方は体育座りのまま寝てしまっていたようで、背伸びをすると腰はばきばきとえげつない音を立てた。
｢あででで｣
｢大丈夫ですか?｣
｢うっ…大丈夫｣
腰を抑えて返事をするも、アリアは心配そうに顔を覗き込んできた。
｢…いや、大丈夫そうじゃないですよね。なんですかその目｣
｢え、目?｣
昨晩なにかしたかな。
そう思いつつふと脳裏に浮かび上がったのは今朝方の事。1人で感傷に浸っていたこと思い出す。
｢あー、…うーんと、これはなんというか……そう、お化粧の、練習!!ちょっと…顔洗ってくるね!｣
｢はあ…｣
洗面書の鏡と向かい合うと、アリアの言っていた通り、私の目はミニトマトを想像するほどに赤く腫れ上がっていた。
｢うっわ｣
｢リアル｣に居た頃なら、こんなことはしょっちゅうで。耐えきれない孤独に何夜も泣いては学校を休むこともあった。
学校にスパイとして行く役目があるため、今はそんなことはやってられないが。
｢────よし｣
顔を洗い、頬をぺちんと叩いた。腫れはすぐには引かないが、寝起きの時よりはまだマシになるだろう。
(今日、アラジンのところに行こう)
それで、近いうち図書館に行く時に｢元の世界に戻る方法｣も探してもらうよう交渉しよう。図書館には私が行っても邪魔になるだけだし。
｢Aさん、朝ごはんを食べに行きましょう｣
部屋からアリアの声が届いた。タオルで顔を吹き、
｢うん、今行く｣
踵を翻してその場を後にする。
鏡と向き合った顔は、やけに自分を睨んでいるようだった。
(────誰にも勘繰られないように、慎重に)
＊
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紅妃(プロフ) - 睦月サイハさん» コメント有難う御座います！ここのところ更新してなくて本当に申し訳ありません。わたくしめには勿体ないお言葉を頂けて、本当に嬉しい限りです。そろそろ話が進むので、気長に待っていただければ幸いです！ (2017年10月12日 0時) (
レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
睦月サイハ - あの、更新頑張ってください！とても面白いし、続きが気になります！ゆっくりで良いので頑張ってください！応援しています！ (2017年10月11日 23時) (レス) id: 78af19d42e (このIDを非表示/違反報告)
紅妃(プロフ) - ゆみさん» 最新話の感想コメント有難う御座います！やっと今まで書きたいところを書けたので、読者様にもそう言っていただけてとても嬉しい限りです！みんなが無事でいられることを私も祈ります… (2017年7月8日 16時) (レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - シェルの正体は何者でしょうか 続き気になります 何かたくらんでいるのはあきらか みんな気をつけて (2017年7月8日 13時) (携帯から) (レス) id: a64fcc18a2 (このIDを非表示/違反報告)
紅妃(プロフ) - ゆきさん» 感想コメ有難う御座います!そう言っていただけるなんて光栄です、頑張ります!!；；；； (2017年5月25日 8時) (レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅妃 | 作成日時：2016年12月6日 1時
