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やっと授業が終わり、廊下へ飛び出す。
いつものベンチへ向かった。
駿貴といつも話す場所。
「…あ、の…Aさん…」
急に話しかけられて思わず後ろを振り返った。
「えっと…どちら様、ですか…?」
そこには少し小柄な可愛らしい女の子がいた。
とてもいい子そうな感じの人。
「あ、私Aさんと仲良くなりたくて…!」
私は目を見開いた。
駿貴の他に接しられる子ができることに喜びを感じる。
「えっと、名前はAさんと同じ学部の…」
彼女はそう言いながら私から少し視線を動かした。
すると、何故か急に顔を真っ青にさせた。
「…っ須貝、くん…。」
彼女の視線の先を追うと駿貴がそこに立っていた。
「えっと、これは…っ!」
「…ごめん、A。ちょっと待ってて。」
そう駿貴は言い残し、彼女の手を強引に引っ張り少し離れたところに移動した。
たった30秒だった。
駿貴と話し終えた彼女の目は酷く怯え、
私の目を見ると気まずそうに走って行ってしまった。
「…?彼女に何したの?」
とてもいい子だったのに、とこっちに戻ってきた駿貴に問いかけた。
すると考えるような素振りをして、
「…あいつ、Aと仲良くなったふりして裏切るつもりだったんだよ。」
駿貴は耳を触りながらそう言う。
その言葉にびっくりした。
と、同時に恐怖で体が震えてくる。
「ありがとう…私また傷つくとこだった…」
そう言うと、駿貴は私を抱きしめてくれた。
私は気づかないふりをした。
駿貴が嘘をつくときに耳を触るということに。
本当の裏切り者は誰だったのか。
私は駿貴の優しさに浸り続けた。
-END-
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はずき - すごく面白い作品ですぐ読み切っちゃいました!これで完結なのですか? (2021年9月3日 19時) (レス) id: 68c918356f (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - めっちゃ好きです…もう更新はしないのでしょうか? (2021年8月29日 11時) (レス) id: 84d3b4ed7e (このIDを非表示/違反報告)
なな - ドストライクな作品で大好きです (2020年9月11日 2時) (レス) id: 088ecaff97 (このIDを非表示/違反報告)
星ぶどう(プロフ) - ヤンデレ好きなので、読んでて楽しいです!これからも応援してます。更新頑張って下さい! (2020年3月30日 19時) (レス) id: 6721536779 (このIDを非表示/違反報告)
清華(プロフ) - 続きが楽しみです!! (2020年3月25日 4時) (レス) id: 1c085b2c66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おれを | 作成日時:2018年12月8日 22時