【東大王】ヤンデレ彼氏。【QuizKnock】

kwmr；自傷型【閲覧注意】 ページ28

紅葉の葉がひらひらと舞い、少し肌寒さを感じる秋。
ガチャッとオフィスのドアを開けると、ソファに座っている先客が真っ先に目に入った。


「あっ、河村さん。こんにちは。」

「A。いつもの事ながら早いね。」


いつも一番乗りでオフィスに顔を出す彼女は、うちの事務所のライターでもあり俺が好意を寄せている相手でもある。
人当たりがよく健気で明るい性格の上、努力家な彼女は少しばかり応援したくなるような子だ。


「それ、何読んでんの？」


そんな彼女は、今日はソファに座り本を熱心に読んでいた。


「これですか？これはですね、先日山本さんにお勧めしたもらった本なんです。」


嬉しそうに話す彼女は、その山本にお勧めされたのだという本を愛おしそうに撫でた。その行動にズキリと胸が痛む。

彼女はどうも山本のことが好きらしい。
本人はバレてないと思っているが、誰よりもAを見ている俺が気付かないわけがないだろう。
彼女の好きな人が俺だったらよかったのにと思う毎日。
叶わないと決定している恋はこんなにも辛いものなのか。


「…そういえば。A、今度の動画の企画を俺がやることになったんだけど、折角だし一緒にやらない？」

「……すみません、この本今日中に読み終えたくて…明日なら大丈夫なんですけど…」

「…いや大丈夫。こっちこそ急にごめん。」


勢いで思いついた彼女と喋る為の口実はあっさりと失敗に終わる。

惨めな俺はそんなに山本がいいかと、何もしてない山本に心の中で八つ当たりをした。これが負け犬の遠吠えか。

無残に断られた俺は1人で虚しく企画を考えることにした。
持ってきた鞄から前クイズの参考にと入手しておいた資料を取り出す。

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す