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20.違和感 ページ20

「なんでストーカーのこと私に相談しなかった?!」

「ごめんて」

「あぁ、やっぱりあの時無理にでも力になるっていえばよかった……俺のせいです」

「待って、それだけは違うぞ炭治郎くん?」

「伊之助ぇぇ!!ふざけんなぁぁぁ!!よくも俺の一生分の勇気を無駄にしやがったなおのれぇぇぇ!!」

「うるせーぞ紋逸!!ここはビョーインだ!」

「それ!お前にだけは言われたくない!!」



朝からてんやわんやで大騒ぎする私達を見かねてか、ようやく医者であろう人が病室に登場した。

おぉ、流石にこの人達もお医者さんが来ると黙るらしい。



「Aさん、お身体は大丈夫ですか?」

「はい、触ると流石に痛みますが、触れなければ痛みも感じません」

「そうですか、なら良かった。患部は痣にならないよう丁重に処置しましたからご安心くださいね」

「ありがとうございます」



それから、お医者さんからストーカー野郎の末路やら何やらを教えてくれたが、正直、あれの事はもうどうでもいい。
怪我について聞けば、もう今すぐにでも退院できる状態らしい。いや、有り難い。

それなら帰ろうか、という結論に落ち着き、すぐに事が運ぶ。

ずっと善逸くんが私の横で伊之助くんを睨んでいるが、まぁいいだろう。気持ちは分からんでもない。



あっさりと病院を出て、そしてあっさりと各々の帰路に付き始める。
待て、すごい軽いな。
ただ朔から、「相談しなかったこと、後でLIMEで問い詰める」とくぎを刺されたので観念した。



そして、遂には善逸くんと2人きりとなった。

もしや、先程の「後でLIMEで問い詰める」というのは私達に気を使って……?!
と、少しだけ思った。確かにそういう気遣いをする奴だ。



「……」

「……」



沈黙の時間が流れる。
でも私にとって基本、沈黙は苦ではなく、寧ろ感情が聞き取りやすい時間だった。

いつものように聞き耳を立てれば、彼の音がする。

純粋で初心な恋の音。



……でも今は少し違った。

好意が僅かに執着に変わって、少し音が重くなった気がする。

最早それすらも嬉しいと感じてしまう私は、そろそろこの気持ちに踏ん切りを付けた方が良い。



善逸くんが好きだ、と。



それがストンと心に収まって、つっかえていた物が取れた気がした。



「………っ?!」



そう思った途端、善逸くんから急に動揺の音が聞こえる。

え?急に?まだ何も言っていないのに………?



あからさまな音過ぎて違和感を感じた。

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作者名:tokumei | 作成日時:2023年8月21日 13時

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