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19.おはよう ページ19

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「……おはよう」

「A……さ、ん……」



目を覚ませば白い部屋に居て、ベットに横たわっていた。

まぁそうだろうなと思ったがここは病院らしい。

横を見れば、やっぱり君が居て。

沢山泣いたと一目で分かる程赤くなった目には、流石に嬉しさよりも申し訳なさが勝ってしまった。

医師に無許可でベットを曲げて、体を起こす。



「Aさんが、起きて……!」

「おぉ、まだ泣くか」



枯れるとかないの?と聞きながらまたポロポロと溢れてくるそれを丁寧に拭っていく。

気づけば窓から朝日が差し込んでいて、正直、なんで彼はこんな時間まで傍に居るんだ?と疑問に思った。



取り敢えず落ち着いた彼を見て、ナースコールなるものに手を伸ばす。



「……ん、どうしたの?」



しかしその手を彼に掴まれてしまった。

本人は無自覚だろうが、年下を存分に生かしたあざとさで、こちらを見てくる。

意図が分からず、無意識に耳をすませば、不安や期待を孕んだような音がした。



「あの……俺の名前、呼んでください……。

ちゃんと、夢じゃないって言ってください……」

「……うん、いいよ」



私が起きたことが未だに信じられないのだろうか。
可愛らしい要求に思わず微笑む。



「ふふ、夢じゃないよ。……我妻善逸くん」

「A、さん……」

「……もう呼び捨てで呼んでくれないの?」

「えっ」



ふと、意識が覚醒する前に聞いた言葉を思い出して、尋ねてみる。
すると突然彼はリンゴのように赤くなってしまう。

うーん、踏み込みすぎたかぁ……。



「ごめん、無理強いはs「A」……は、はい」



急に顔が赤くなったかと思えば、急に呼び捨てにしてくる彼に思わず敬語が出る。

彼を見れば、まだほんのり赤い顔に、それでいて真剣な表情に目を奪われる。
……おぉ、こんな顔、できるんだ。



「俺の話を聞いてほしい」

「……はい」



真剣な声色に背筋が伸びて、聞く姿勢を取る。

あぁ、これ、あれだ。

今まで疑惑だった音がここでようやく確信に変わる。



「俺……俺は、AAさん、貴女のことが、



_好k「あ!!いたぞ!!おい子分その4!!大丈夫か!!」……伊之助ぇぇ!!!ふざけんなよお前ぇぇぇ!!!」

「い、伊之助くん……」



あれ、思ったのと違う。

そう思ったのもつかの間。
伊之助くんを始めとして、朔と炭治郎くんまでもが病室に押し掛けてきて、善逸くんどころではなくなってしまったのだった。

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作者名:tokumei | 作成日時:2023年8月21日 13時

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