体育祭 その後 ページ32
体育祭もほぼ終わりかけて、Aたちの興奮も収まった頃、モトキがAに近づいてきた。
モトキ「A、あんまりむちゃしないでよ。俺、見ててハラハラしたし。」
Aの隣に並んで座ったモトキがそう声をかけてきた。目線は運動場に向けたまま。
A「ん。ごめん。でも、やられっぱなしは癪だったし。正々堂々、やり返せるんだったら一石二鳥って思ってさ。」
Aも目線は競技に向けられたまま。
モトキは一瞬Aの顔を見た。・・・ちょっと楽しそうな、やりきった感じのある笑顔。
横顔だけでもモトキにとっては印象的だった。
モトキ「・・・そんな顔しないでよ。・・・俺、もっとAのこと好きになりそうじゃん」
小さかったが、Aの耳に届いたモトキの声。
Aが驚いて隣を見ると、モトキは席を立ち何処かへ行ってしまった。
A「モトキくん！？今、なんて・・・」
おいかようとAも席を立ったが、驚きのほうが強い。なんだかその場から動けずにいた。
(A「え？え？どういうこと？モトキくん、なんであんなこと・・・」)
Aがキョロキョロとモトキの姿を探しても、もう、近くにはいない。
(A「モトキくん、今、『もっと好きになる』って言った？どういう・・・」)
Aがモトキを探しに行こうとしていると、シルクが声をかけてきた。
シルク「どう？落ち着いた？」
ニカッっと笑うシルクに、なんとも言えない表情で笑うA。シルクはAの異変に気づいた。
シルク「どうした？なんかあったか？」
A「モトキくんが・・・もっと好きになるって言って・・・どっか行っちゃった・・・。なんで？・・どうして？・・・」
動揺するAを落ち着かせ、シルクが話す。
シルク「モトキのことは俺にまかせろ、大丈夫だから。Aはみんなと一緒にいて。後でちゃんと教えるから」
そういうと、シルクはモトキを探しに走り出した。
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作者名：danchan | 作成日時：2020年3月8日 16時
