Spilal Step －Ⅱー (ページ16)

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モトキはシルクの指摘に、何かを考える。

少しして、モトキの小さい声が、シルクの耳に届いた。

モトキ「ずっと・・・ずっと・・・。Aのこと、好きだったよ・・。一緒に笑いたかった・・。Aの笑う顔、見たかった・・・。」

シルクはちらっとモトキのほうに視線を向け、「そっか」と相槌をうった。

モトキ「でも、A、俺の前じゃ、泣いちゃうんだよ。俺が好きな顔、なかなか見せてくれないし。マサイと一緒の時のA、オレの好きな顔見せてくれるんだよ。」

シルクはちょっとだけ笑って答えた

シルク「A、モトキには一番弱いところ、見せてたんじゃないか？ところで、お前の好きなAの顔って？」

モトキは、ちょっとだけ顔をあげて答えた。

モトキ「何かを決意したような、やるぞっていう表情。何かに挑むような、ワクワクした目。そんな顔。・・・オレ、その顔見ると、俺もワクワクしてくるんだ」

モトキの声が涙声から、優しい慈愛のものにかわる。

シルクは空になったモトキのグラスに酒を注ぎながら話す。

シルク「まあさ、Aがマサイと結婚しようが、あいつはあいつだと思うな。おまけに、マサイだけでも大丈夫だとは思うけど、お前がAのそばにいて、俺はあいつが成り立つって思うんだ。精神的な何かにはなってると思うぞ。」

シルクの言葉に、モトキは「そうかな～？」といぶかしむ。そして。

モトキ「シルクはさ、なんで今日ここに来たの？」

今更なことをモトキはシルクに聞いた。

シルク「お前が感情もろに出す顔を見たかったし、振られた顔、見たかったから。」

モトキは「なんだよ、それ」とシルクを鼻であしらう。

モトキ「・・・でも、なんかすっきりしたよ。純粋に祝えそう。シルク、ありがとね」

そういうと、二人は黙って乾杯をした。