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兄クロードはシルクに連絡を入れたのち、グラスをもって、仲間の方へ行ってしまった。
なお「あらあら。ケイちゃんなりのやさしさなんでしょうけど」
なおは苦笑いし、Aはあっけにとられる。
なおはAの方を向くと、神妙な面持ちになる。
なお「で?どうするわけ?Aちゃんの中で、どこまで決まってるの?」
なおに質問され、Aは少し戸惑いつつ考える。
A「どこまで・・・って。はっきりとは決まってなくって、なんとなく、ぼんやりというか・・・」
言葉を選びつつ、濁すAに、なおはさらに質問した。
なお「ね、あの二人、モトキ君とマサイ君だっけ?実際、どう思ってるの?」
Aはカクテルを一口飲むと、小さくため息をついた。
A「モトキの事はずっと好きだけど、なんていうか、”一緒にいたい”と思える相手。
マサイは・・・そうだな・・・”守ってあげたい”って感じかな」
なお「どっちもどっちってかんじねぇ・・・。私なら、”守ってあげたい”方なんだけど、Aちゃんのココロ次第じゃない?」
A「マサイは、天然なところあって、心配になっちゃうところもあるんだけど、モトキは、ううん、モトキなら大丈夫かなって思っちゃう。だからかな?モトキとは”一緒に何か経験したい”って」
そこまで話すと、なおの顔は笑顔になる。
なお「なら、決まってるんじゃない。今更、何を悩むっていうの。ちゃんと話せばわかってくれるわよ」
Aはなおに言われて、下を向いてしまった。頭を振り、否定する。
A「私がいることで、二人の仲を悪くしてるの。それが私にとって一番いやなこと。絶対に嫌。だから、私がいなくなったら、元に戻るのかな?って・・・」
なおはAの言葉にあきれてため息をつく。
なお「それは違うわ。Aちゃんのことで二人が争うのは、男としての本能。あなたがいるから、いいライバル関係が保ててるんじゃない?私はそう思うけど」
元・男性のなおの言葉にAは涙目の顔を上げた。
なお「ほら、話すべきひとが来たわよ」
そういうと、なおは来客のためにビールを用意し始めた。
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作者名:danchan | 作成日時:2020年10月2日 21時