その女子高生、ポートマフィアにつきご注意ください。【文スト】

では、改めまして。 ページ9

一週間後。
世間の人々が一週間前の某企業社長の殺人事件のことなどとうに忘れ、新しいニュースに関心を持ち始めるころ。

私は前回の部屋にいた。
「さて」モリが口を開く。「改めて、自己紹介とさせていただこう。私は森鴎外。このポートマフィアをまとめている。君が私のことを何と呼ぼうとかまわない。まぁみんなには首領と呼ばれているがね。…で、後ろにいる彼らが五大幹部と呼ばれる者たちだ。ただ、彼らもなかなか忙しいからね。今回紹介できるのはこの三人だ。」私は後ろの三人を見た。包帯男、帽子の男、そしてまた知らない顔。綺麗な着物を着ている。

「わっちは尾崎紅葉。お主と会うのはこれが初めてじゃな。…橘 Aといったかの、ま、よろしく頼むぞ。」紅葉さん。名前と顔を頭にインプットする。
「私は太宰。 太宰治だ。趣味は自 殺。…ま、御覧の通り一度も成功していないのだけどね。残念だ。」
本当に残念そうにつぶやく。変わった人だ。
「俺は中原中也。隣の此奴は殺してくれて構わねェ。 あと、今日からはお前の教育係になる。よろしくな。」 太宰さんとは仲が悪いのだろうか。ものすごく睨んでいる。
とりあえず、この三人と首領のことを覚えておけば…ん？
「教育係？！」
「そうだ。」首領が言う。「わたしは無駄なことはしない主義でね。君のような人材を最下級構成員として扱うのは非合理的というものだ。」

いきなり大出世したものだ。 わざわざここに呼ばれて自己紹介するくらいなのだからそれほどの人たちなのだろう。
言わせてばかりというわけにもいかないので私も自己紹介をする。
「橘 Aです。 えっと、よ、よろしくお願いします。」
ふむ、と首領が満足げにうなずく。「では、君たちは下がっていいよ。あ、中也君は残り給え。A君について色々と話をしたいからね。」
二人が出ていく。
「では、これからのことだけれども。 さすがに今すぐに仕事を任せるわけにもいかない。銃の使い方、ナイフの扱い方、教えなければならないことはいろいろとある。で、考えたのだが、彼と一緒に暮らすというのはどうだろう。毎日毎日会いに行くのも大変だろう？ それにまだ君は十二歳だ。近くに大人がいるというのもいいと思うんだがね。」それだけのことを一息に言い切ると首領は笑いながらどうだい？と聞いた。
「私が中也さんとですか？」「厭かい？」「いいえ、全然。」
むしろ嬉しいです。そういうと首領と中也さんはにこりと微笑んだ。

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