謎解き 其の三 ページ34
取り押さえようとした警官が止まる。
「何を…する気なんだ」 人虎君がいつでも飛びだせるように身構えた。
みっちゃんが取り出したのは液晶画面のついた黒っぽい板。
「橘さん。先ほどお見事、と言いましたが今の推理には一つだけ穴がありました。何でしょう?」
いきなり名指しされ狼狽えたが確かに未だわかっていないことが一つだけある。
「大量の塵、ですね」「正解。」
すっかり頭から抜け落ちていた。 考えろ。 なぜ塵を置く必要があった?
「教えてあげましょうか?」みっちゃんがまたにこりと微笑む。
「「その必要はありません。」」 二人分の声が重なった。 一つは私。もう片方の声の主を見やる。 「太宰さんも同じ考えでしょうか?」「多分ね」
「カモフラージュ。 それが塵を置いた理由だ。」みっちゃんが頷く。「なんのです?」
太宰さんがこちらを見た。「続けちゃっていいかい?」 どうぞ、という代わりに頷いた。もう推理はこりごり。
「何を隠したかったか?それはその端末が物語っている。 三田さん、あなたの目的は…爆弾を設置すること。違いますか?」
一見すれば落書きと塵が棄てられている、というだけの悪戯だ。誰も爆弾が隠されているだなんて思わない。 それに塵が影となって見つけられにくくなる。
聖良学園にだけ爆弾が取り付けられたのではなく、他の場所で見つかっていなかっただけだったのだ。
私が思ったことと全く同じことを太宰さんが言った。「その端末はおそらく各所に隠された爆弾の起爆スイッチなのでしょう。 渡す気はありませんか?」
みっちゃんは少し首を傾げた後、どうぞ、と思ったよりもあっさりと端末を差し出した。
「でも、そのまえに一つだけ。」 太宰さんが掴むよりも早く、端末を上に掲げた。指が動くのが見えた。
「やめろぉぉ!!!」人虎君がみっちゃんの手から端末を弾き飛ばした。「もう遅いです。 さあ、どうしますか?」また笑う。 手を血が一筋伝った。
「狂ってる…」私は端末を急いで拾い上げた。まだ爆発はしていない。 9:48という数字が画面に映し出されていた。「狂ってるとは心外ですねぇ、橘さん。私は只
最後まで聞かずに最初の現場―――市営会館―――へ移動した。 朝に太宰さんから資料を見せてもらっていた。場所は頭に叩き込んである。
模様が描かれていた壁の前であたりを見渡す。10センチ四方の爆弾を隠せそうな処。何処だ?
続きます→
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フリスク(プロフ) - 島空太さん» コメありがとうございます! ごめんなさい、一回リクエスト案を消してしまいました…でもそのうち書きます!(*・ω・)*_ _)ペコリ (2017年4月8日 9時) (レス) id: 53bb568289 (このIDを非表示/違反報告)
島空太(プロフ) - プリン食べられて…っていうやつが気になりますねェ…(。-∀-) (2017年4月8日 4時) (レス) id: ad1d4b6253 (このIDを非表示/違反報告)
フリスク(プロフ) - 藤猫さん» コメありがとうございます! 毎回どんな風に書こうか悩みながらポチポチやってるのでそう言って褒めて頂けると凄く嬉しいです! これからも頑張って書いてきますね( ´ω` )/ (2017年3月20日 8時) (レス) id: 53bb568289 (このIDを非表示/違反報告)
藤猫(プロフ) - 文章に台本書きや顔文字を使わずに書かれた、小説らしい小説だと思いました。謎解きも面白くて、構成も整っていると思いました。とても好感の持てる作品で、これからも読み続けたいです。楽しみにしています!偉そうな感想、長文失礼しました。更新頑張ってください! (2017年3月20日 2時) (レス) id: 59331f3ebf (このIDを非表示/違反報告)
フリスク(プロフ) - 物部さん» コメありがとうございます! 小説書くのは初めてだったので文章が綺麗と言っていただき嬉しいです!あんまり文ストキャラと絡ませられませんでしたが…w 頑張って更新しますね! (2017年3月19日 10時) (レス) id: 53bb568289 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フリスク | 作成日時:2017年2月7日 19時