ゆらぎ

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「A〜まだ寝てるの？」


コンコンとドアを叩いてリンちゃんがわたしを起こしに来た。


「……んんぅ〜…きょうどようびでしょ〜」


ガチャとドアの開く音がして布団から顔を出す。


「これ、昨日落としてったよ」


「…う〜ん？」


リンちゃんが持ってるタオル…見覚えがあるけど、どこでみたんだっけ。


「一緒に居た人」


「あぁ！ウジンのタオルだ！」


起き上がってタオルを受け取る。


「なんでリンちゃんが持ってんの？」


「昨日自転車で一緒に帰ってきただろ？」


「あぁ……えっと、リンちゃんみてたの？」


「え、まぁ…うん」


ってことは、キスしてたのもみられてるよね……うわぁ〜〜〜〜恥ずかしすぎる！！！死にたい！！！！！


「Aに彼氏がいたなんて…ちょっとびっくりした。いつから付き合ってるの？」


「1ヵ月くらい前かな」


「ふ〜ん…A、その人のこと好き？」


「え……そりゃあまぁ…」


「幸せ？」


「うん…」


「そっか……ならいいや。じゃあ朝練行ってくる」


「うん、わざわざ持ってきてくれてありがとう」


ポンポンと頭に触れると指に髪を絡ませて、寝ぐせついてると小さく笑った。そのリンちゃんの手をバシッと払い恨めしく睨んでやる。


「ダメだよ、こういうことしちゃ」


「なんで？」


「あのね、こういうスキンシップは好きな子限定。誰にでもしちゃダメ。思わせぶりなことして女心を弄ぶんじゃありません」


リンちゃんはいつもそうだ。話す時は距離が近いし、みつめてくるし、やたらと触れてくるし(特に頭)。幼なじみのわたしは慣れてるから特になんとも思わないけど、他の女子だったら意識しちゃうよ。


「誰にでもしない、Aだから…俺には昔からずっとAだけだ」


「……それは、幼なじみだからってこと？」


リンちゃんの表情が一変した。怒ったように眉をしかめたかと思うと悲しそうに目を伏せて、それを隠すように背を向けてドアノブに手を掛ける。


「俺もそう思ってたよ。昨日までは…」


背を向けたままそう呟いて部屋を出ていった。









え？









…え！？









……ええーーー！？！？！？









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