ゆらぎ

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部活が終わりいつもの帰り道を1人で歩く。


ウジンは今日は用事があるから先に帰るってカトクが来てた。


1人で帰るのは久しぶりだ。ちょっと寂しいって思っちゃうのは、ウジンと一緒に帰るのが当たり前になってたからかな。


「当たり前じゃないんだよね…」


駅に着いてホームのベンチに座る。いつもなら私が乗る電車が来るまでウジンが隣に座って話をして、私が電車に乗ったのを見送ってからウジンは反対方向のホームへ移動する。ウジンが乗る電車の方が早く来ても私が電車に乗るまでは一緒に居てくれる。


今、なにしてるのかな…


一緒に居ない時はウジンのことをよく考えるようになった。おもしろいテレビをみたらウジンに話したいって思うし、おいしいものを食べたらウジンにも食べさせてあげたいって思う。自分の中でどんどんウジンの存在が大きくなってる。


やっと電車が来てそれに乗った。


いつも待ち時間があっという間に過ぎるのに今日はやけに長く感じた。


電車に乗って三駅目、最寄り駅に着くと駐輪場に向かう。


…ん？


私の自転車の隣でカバンの中をゴソゴソ漁ってる男の人がいた。ウチの高校の制服を着てる。


チャリ、と足元で金属音がした。落ちていたのは自転車のカギと学生証。


学生証には“2年1組 キム・テドン”


「あの、これ落としました？」


「え？ありがとうございます。探してたんです」


振り向いた男子はカギと学生証を受け取った。


この人どこかでみたような…？


「あ、学校の廊下でーー」


「そうだ！廊下で」


「あの時はすみません」


「いえ、ぶつかったのはわたしの方だし。こちらこそすみませんでした」


「「………」」


「じゃあ」


「はい」


自転車を押して駐輪場を出る男子の後ろ姿を見送り、わたしも自転車のカギを外した。ポケットでスマホが震えて慌ててみてみるとウジンからのカトク。


『今日はいっしょに帰れんくてごめん。家ついたら連絡してな！』


『電話じゃなくていいから』


『一言でいいから』


「ほんと過保護だな〜」


帰宅したら連絡をするという約束をいつの間にか決められていて、私が連絡を忘れた時は着信とカトクが何件もあって全部ウジンからだった。翌朝、学校に行って謝ったら怒られて呆れられて、指切りげんまんさせられた。


『今から自転車で帰るよ』


すぐに返信が来た。


『気つけて帰りや〜連絡わすれんなよ』


了解！とスタンプをおくってわたしも自転車を押して駐輪場を出た。

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