未熟 ページ7
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目が覚めると、熱はすっかり下がっていた。
立ち上がるとぐらりと眩暈はしたものの、動けない訳じゃない。
ふと目をやると、布団の側に何故かAに貸した羽織が綺麗に畳まれて置かれていた。
(昨日…Aが来たのか？)
記憶を遡ろうにもずきりと頭が痛む。
誰かが看病しに来てくれた気もするが、誰だったのか思い出せないし、まして今まで自室に人を入れたこともない。
(熱に侵された幻想だろう)
着崩れた着物を脱ぎ、隊服に着替え長い髪を無造作にくくれば自然と気が引き締まった。
「……」
羽織を手にしたところで、ふと動きが止まる。
『…冨岡さん…大丈夫ですか？』
『今日一度もお会い出来なかったので、その…何かあったんじゃないかと…』
『お口にあったようで嬉しいです』
『か…からかわないでください』
何故か聞き覚えのある声が脳内で再生され、どくんと胸が波打った。
頬をほんのり赤く染め、にこりと微笑むAの顔が思い浮かび、何とも言えない感情が俺の心をさぁっと撫で上げる。
もどかしくて、むず痒い。
俺にはこの感情が何なのか検討がつかない。
しかし、俺を見上げる目や手を合わせて喜ぶ仕草に、いつしか彼女に触れたいとさえ思ってしまう自分がいる。
「……未熟だ」
剣士に余計な感情は必要ない。
俺は鬼を討つために鬼殺隊の剣士となった。
鍛練を積み重ねるのみ。
いくら考えても答えの出ない感情を振り払うようにばさっと羽織を着て剣を腰に携え庭へと出る。
眩しいくらいの日差しに目を細めていると背後からじゃりっと足音がした。
「冨岡さん。体調は回復したようですね」
「……胡蝶か」
「私の薬、良く効いたみたいですね」
うっすらと笑みを浮かべながらそう話す胡蝶に「……お前に薬を貰った覚えはない」と言うと「あら」と首を傾げた。
「ではどうやって治したのですか？」
「自室で寝ていた。それだけだ」
「…そうですか」
「……」
胡蝶は相変わらず笑みを浮かべてじっと俺を見つめている。
何かを探るような目で俺を見据える胡蝶に嫌気が差し、立ち去ろうと踵を返せば「冨岡さん」と呼び止められた。
「まだ話は終わってないのですが」
「……お前と話す事などない」
「本当にそうでしょうか」
曖昧な返事で返す胡蝶は「向こうへ行きましょう。ここは誰かが来そうです」と言って屋敷の裏へと俺を連れ出した。
「単刀直入に聞きます。冨岡さん、昨日Aちゃんに何をしたんですか」
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やも - Regulusさん» コメントありがとうございます！更新お待たせしました。楽しんでもらえるよう頑張ります。 (2020年5月5日 9時) (
レス) id: d5279b18f1 (このIDを非表示/違反報告)
やも - まゆさん» 初のコメント嬉しいです。ありがとうございます！喜んでいただけるよう頑張ります。 (2020年5月5日 9時) (レス) id: d5279b18f1 (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - 続き楽しみに待ってます！更新頑張ってください(*≧∀≦*) (2020年5月3日 23時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 好きです。応援しています。 (2020年4月30日 15時) (レス) id: 333fde5e7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やも | 作成日時：2020年4月23日 10時
