第二話 最愛の人 ページ3
鬼滅隊の水柱。
剣士としての実力は最上級で、難しい任務を任されることも多い。
いつ死んでしまってもおかしくはない。
だからこそ、せめてお家では誰のことも気にせずに落ち着いて幸せにいてほしい。
そんな気持ちが強すぎて・・・。
さっき、すこし怒りすぎてしまったかしら。
私は、義勇さんのお着替えを用意しながら、反省をする。
こんなにガミガミいう妻じゃ、嫌よね。
反省反省!
お風呂から上がった義勇さんは、お家用の服にささっと着替えて居間にやってくる。
「ご飯できていますよ。
今日は、珍しいお魚の仕入れがあったから、お魚にしました。
お口に合うといいのだけれど」
私はニコッとして、義勇さんを見上げる。
そうすると、義勇さんは、ちゃぶ台からすこし離れたところにストンと座ってしまう。
私が首をかしげると、義勇さんは、手をちょっと広げた。
来いってこと?
私は膝立ちになって、じりじりと義勇さんに近づく・・・と。
腕を引っ張られ、突然義勇さんに抱きしめられた。私はびっくりしてドキドキしてしまう。
急に何!?
お風呂上がりで、少し髪が濡れている義勇さん。石鹸のいい香りがふわっと漂う。
「A」
「な、なんです」
「好きだ」
そんな直球に言ってくると恥ずかしい・・・!
義勇さんは、私の首元に何度も口づけをした。顔がかあっと赤くなる。
「どうしたの、何かあったの?」
私が聞いても答えてくれない。義勇さんは、ぎゅうっと私を抱きしめるだけ。
寂しくなっちゃったのかな。
私も、義勇さんの背中にそっと手を回す。
「好きですよ、義勇さん」
私がいうと、満足そうにふっと息を漏らす義勇さん。
可愛いところもあるのよね。いつもぶっきらぼうなんだけどね。
義勇さんは、私の髪をくるくると弄び、片手ではしっかりと抱きしめてくる。
実は結構、こういうことをするのが好きな人。
おそらく、普段彼と仕事をしている人は、こんな人だって思わないだろう。
私も、こんな人だとは思っていなかったのだから。
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作者名:凜 | 作成日時:2020年12月17日 10時