なんか色々と無理なんで家出しようと思います

家出計画３ ページ5

織田作side

俺は、待っていた。

今日の仕事は少なく、残りの業務は裏切り者の死体掃除だけとなっていたが

一緒に仕事をする予定のAは定刻の時刻を過ぎてもまだ現れなかった。

俺は時計見て現在の時刻を確認する、『１１：０５』

Aが来る気配はなかったので、俺は近くのベンチに腰掛けた。

((そういえば昨日はA、あまり元気がなかったな))

確かAの高級栗羊羹が誰かに食べられていたんだったか。

もしかしたら落ち込んで寝込んでいるのかもしれないな。

今日仕事が終わったら一緒に食べに行ってやるか。




太宰 Aという少女は少々変わったやつだ。

俺と同じ最下級構成員で容姿は端麗、１４の娘とは思えないような雰囲気を持っており、いつも黒いダッフルコート着ている。

大好きな栗を前にすると、年相応に大喜びする。

そしてAは友人の太宰治の実の妹だ。所々似ている兄妹だと思うが、Aはそれを否定している。
兄妹仲は冷え切っており、お互いに他人行儀で関わろうとしない。

Aは何でもないようにふるまっているが、その瞳には時折深い悲しみの色が映る。

すぐに元の表情に戻ってしまうが、心は傷ついているのだろう。

太宰はAのことをどう思っているのだろうか。今度聞いてみるか。



『おーい、織田作ぅー！遅れてごめんなさーーーい！！』


俺の思考はAの声では終わりを告げた。

俺は改めて時計を見ると時刻は『１１：２０』だった。


「いや、そんなに待っていないから大丈夫だ」


『そう？あっ！それよりも聞いてくれ給えよ！織田作！！驚いたんだよ！』

Aは興奮気味に言った

「そうか、何に驚いたんだ」

俺は歩き出しながら聞いた。

どうやら朝だと思ったら昼で驚いたということらしい。

元気そうに驚いた出来事を話すAは年相応で俺は孤児院の子供たちを思い出し、微笑ましく思った。

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