Dolce (ページ6)

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無事にショーが終わってから、ジョンインと私は連絡先を交換した。

　「カトク、送ってもいい？」

　ニコニコと私に話しかけるジョンインとは対照的に、私は少し不安だった。
　ジョンインは釜山にいた時よりもずっと背が伸びて、かっこよくなった。それに、なんていったって人気アイドルだ。本当に連絡していいのだろうか。

　「私こそ、いいの？ジョンイン、アイドルだし、その、女性関係とか、」

　遠慮がちに尋ねたのに、ジョンインが自信たっぷりに

　「Aだから、連絡取りたいんだよ」

　なんていうから思わずクスリと笑ってしまった。

　「…今の顔」
　「え？」
　「今の、笑顔のAが好きだな」

　こんなことを平然と言える男の子だっただろうか、ジョンインは。
　顔を真っ赤にする私の頭をぽんぽんと撫でた彼は、「韓国に戻ったら、どこかに出かけよう」と私に耳打ちして送迎車へと戻っていった。

　会場の外では、彼が姿を見せたことにより歓声が沸き上がる。
　私は活動休止を発表した直後であまり人前に出たくないため、マネージャーと共に裏口からこっそり帰った。

ジョンインに向けられた歓声が、自惚れるなと私に冷や水を浴びせているようで、彼に会えて嬉しかったのになんだか憂鬱な気持になった。