Dolce (ページ5)

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Reunion ページ5

「...え、ジョンイン？」

「そうだよ、A。本当に久しぶり！」

　相変わらず、狐みたいな糸目で彼はニコニコと笑って私の隣に座ったけれど、急に現れた幼馴染に私の頭は大混乱だった。
　ごくたまに手紙のやり取りをしていたから、ジョンインがアイドルになったことは知っていた。でも、こんな再会の仕方って、あるのだろうか。

　ショーには数々の報道関係者が詰めかけている。ヴァイオリニストの私と、人気アイドルのアイエンという組み合わせに、彼らはこれ幸いとターゲットを定めたようだった。シャッターの音が鳴りやまない。

「…いいの？ネットであることないこと書かれちゃうよ」

人前に立つ仕事柄、メディアの性質は痛いほど分かっていた。
不安そうな私の声とは裏腹に、ジョンインは笑みを絶やさない。

「そんなの、気にしないよ。それより、Aに会えたことが嬉しい。」

大好きなジョンインの声。それを聞けたことがどうしても嬉しくて、私の顔にも笑みが広がる。

「お母さんのこと、聞いた。ずっとAのことが心配だったんだ」

　眉尻を下げてそう言ったジョンイン。冷えて固まっていた私の心が解けていくようだった。毎週日曜日、協会のミサで会っていたころの、温かい記憶。思わず涙が零れそうになって、慌てて下を向いた。
「…ありがとう、気にかけてくれて。今回のスケジュールが終わったら少し休む予定なの。だから、きっと大丈夫。」

少し声が震えてしまった私を、ジョンインはじっと見つめて、それから、カメラに映らないようにして、私の手を握った。
ショーが始まるまで、あと５分。ずっとこの時間が続けばいいのに、なんて。