Affection ページ20
僕は号泣するAの手をひいて宿舎に向かった。
3人のヒョン達は、皆個人スケジュールで今夜は宿舎に戻らない。不幸中の幸いだと思った。
宿舎までのタクシーの中でいくらか落ち着きを取り戻した彼女は、泣きはらした真っ赤な目を擦ろうとするものだから「痕になるよ」といいながら手を取って、僕のそれと絡ませた。
彼女はぴくりとそれに反応したようだったけれど何も言わず、僕の手を握る力を強くしただけだった。
宿舎にて。リビングのソファにちょこんと座る彼女は、さながら借りてきた猫のようだ。
とりあえずあたたかいものを、とキッチンにあったココアを拝借することにする。ちなみに僕のものでは無い、が、ヒョン達はなんだかんだ僕に甘いので許してくれるだろう。
ブランケットを彼女の体にかけて、ココアをテーブルの上に置く。
「あったかい」
一口ココアを飲んでそう呟くと同時に、ぽろぽろと涙をこぼす彼女を見た途端、我慢できなくて、どうしようもなく愛おしくて、彼女を思い切り抱きしめた。
僕の胸板に顔を埋める彼女に愛おしさが募る。
この細い体に、どれだけの重圧がかかっていたのだろう。どれだけ苦しみ、もがいてきたんだろう。
「A、僕の彼女になって。」
気づけば、僕はそんなことを口走っていた。
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作者名:tomchi | 作成日時:2024年3月6日 21時