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「ヒョンジンさん…?」
「はい、ヒョンジンさんです。どした?イエナに会いに来た?」
小首をかしげて私に問うたヒョンジンさん。ジョンインもいるんだ。会いたいな、なんて。
「あ、いえ、隣の会場で学部のパーティーがあって。こっちの会場はたまたま覗いただけなんです。ごめんなさい。もう戻りますね。」
見たところ部外者は入れないようだし、邪魔になってもいけないだろう。
今度こそ、とその場を離れようとしたときだった。
「あれ、A?どうしてここに…?」
切れ長の目を大きく開いて、驚いた顔のジョンイン。ヒョンジンさんが事情を説明すると納得した顔をして頷いた。
「ヒョンと知り合いだったんだね、知らなかった」
「パリの美術館で偶然、ね。」
ぱちりとウインクをするヒョンジンさんをみたジョンインは、ヒョン、Aを誘惑しないで!となんだか憤慨している。
ジョンインたちは、事務所主催のパーティーに参加していたのだという。どうりで警備がものものしい訳だ。お酒も提供されているらしく、2人とも少し顔が赤い。
宴も酣、という頃合いだろうか。私の会場では酔った声楽科の学生が合唱を始めたようで、はやし立てる声が沸き上がっている。
携帯が震えて、慌てて通知を見ると「Aどこいったのー?みんな心配してるよ」とメッセージがソユンから届いていた。
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作者名:tomchi | 作成日時:2024年3月6日 21時