Party ページ13
音楽大学には様々な楽器を専攻する学生が集まる。
違う楽器同志でグループを作り発表する授業もあるわけで、様々な楽器の学生と仲良くなることは意外と重要だったりする。
ソユンに連れてこられたホテルの大広間には沢山の学生が談笑しており、飲み会というよりは立食パーティーという言葉が似合っているように思えた。私はアルコールが苦手なのでオレンジジュースなんて子供っぽい飲み物で乾杯に参加。
ソユンに紹介されたピアノ専攻の男の子は私が全国ジュニアで1位になった時に、ピアノ部門で同じく1位になった子だった。
1回話してみたかったんだ、と穏やかに話す彼に好きな作曲家についての話題を振ってみたら、思いのほか話が盛り上がって、ああ私はこういうお友達が欲しかったのだな、と納得した。
思いのほか話し込んでしまって少し疲れたので「お手洗い行ってくるね」とソユンに告げてその場を離れる。
広いホテルだ。同じ階で、私たちのパーティーとはまた別のパーティーも行われているようだった。
どんな団体なんだろう。ほんの出来心で入り口を覗く。すると。
「関係者以外は立ち入り禁止です。身分証はお持ちですか」
威圧感のある警備の男性に怒られてしまった。そんなに有名人でも来ているのだろうか。
「す、すみません…」
思わず小さくなって謝り、その場を離れようとした時だった。
「あれー、Aさんじゃん、どうしたの」
斜め上から降ってきた声は、パリの美術館で聞いたものと酷く似ていた。
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作者名:tomchi | 作成日時:2024年3月6日 21時