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ソユンは目を輝かせてこんなことを言った。
「アイエンのアカウントでもあなた写ってたし、てっきり付き合ってるのかと…」
「ええ？！そんな、だってこの前久しぶりに再会したばっかりで…」
慌ててジョンインのアカウントを覗きに行くと、そこには【素敵なショーでした】という一文と、ファッションショーの写真数枚。最後の一枚は私と話すジョンインの姿があった。
「アイエンが自分以外をインスタに載せるなんてなかなかないからびっくりしちゃった。てっきり付き合ってるのかと…」
興奮気味に話すソユンを見つめ、ため息をつく。
「相手はアイドルだよ？ロマンスなんてないない」
「そうなのー？」
ソユンはちょっと残念そうだ。
あの時間はなんだか夢みたいで、今思い出しても現実のことのような気がしない。
「でも、あのアイエンに釣り合う人って、同じ売れっ子アイドルか、Aみたいな芸能人だと思うの、私。」
ソユンはいつになく真面目な顔で、こう続けた。
「Aは今まで十分頑張ってきたと思うよ。私が一番知ってる。一番近くで見てきたんだもの。だから恋人でも友達でも、頼れる人が必要だと思う。」
ま、友人代表はあたしだけど！と照れ臭そうに笑うソユン。
ソウルに移り住んでから、平日は普通の中学校に通って、週末になると教育院と呼ばれる教育機関でレッスンを受けた。オーディションによって選抜されたエリートだけが受けられるレッスン。過酷で、脱落者も多かった。高校、そして大学に進学してからも練習漬けの生活を送っていたから、恋愛なんてする暇はなかった。
時々手紙のやりとりをしていたジョンインも、練習生からデビューメンバーに選ばれるまで、そしてデビューしてからも練習漬けで恋愛はさっぱりだと手紙で言っていたから、芸能に関わる人間は恋人ができなくて当たり前と思っていた。
「でも今更出会いも無いしどうしようもない気が…」
大学の友達だって、入学したての頃はいろんな人に話しかけられたけど、練習に集中したいから、と誘いを全部断っていたせいで今では片手で数えるほどしかいない。
「そこは私にまかせて！！っていうか今日学部主宰の飲み会があるの。知ってた？一緒に行こうよ」
学部主宰ということは、自分の楽器以外の人もいる。自分の知らない世界があるかもしれない。根っからのクラシックオタクである私には、そんな機会を逃す選択肢は存在しなかった。
「じ、じゃあお願いします…」
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作者名：tomchi | 作成日時：2024年3月6日 21時
