寝たら即帰宅の旅�� ページ27
**
現在時刻4時15分。ベッドでAと話してたんだけど、突然返事が返ってこなくなった。これはまずい。Aの顔の前でカウントが始まって、終わる。あ、ご帰宅ですAさん。うわーここにきて俺一人になるのきついな。
いやいや待てよ。この子起きないんじゃない？揺さぶっても、名前呼んでも、聞こえるのは寝息だけで起きる気配が全くない。そうだこの子はこういう子だった。
「Aさん、起きないけどどうしますか？」
「起きないし、起きたとしても多分ひとりで帰れないと思うのでこのまましばらく置いときます」
「でも即帰宅」
「この時間に女の子ひとりじゃ危ないからね。いないものとして扱うんで大丈夫」
ということで、Aが脱落。いるけどね。寝てるけどね。すやすや気持ちよさそうに寝てる。かわいすぎ。寝顔の写真をとって、ほかのメンバーに送る。寝て起きないことも伝えたら、虫さんからしょうがない子だねって返事が返ってきた。
**
シャワーを浴びて、朝ごはんも食べて、お土産を買って部屋に戻ってきてもAは寝たままで。さすがに起きてくれないと困るから、大きく肩を揺らした。
「やっとおきた」
「…おはよ」
「今の状況わかってる？」
「ん、わかんない」
「Aは、てつやが帰ったすぐ後に寝ました。寝たら即帰宅だから本当は帰らなくちゃいけないのに、起こしても起きないからそのままにしといたって感じ」
「りょうくんは？」
「俺は寝ることなく終えました」
「……すご。おつかれさま」
いまいちよく分かってない寝起きのAを着替えさせて、さあ家に帰るぞ。ホテルを出てエンディングも撮り終わって、ふらふらのAの手を取って歩く。
「即帰宅なのに即帰宅しなかったから怒られる？」
「誰に？」
「視聴者さん」
「俺がこのままにしとくって言ったんだから別にいいの。起きたところであんな時間にひとりで帰せないし」
「りょうくんありがと」
「帰って寝るよ」
「りょうくんの家に帰りたい」
「いいよ」
「一緒に寝ようね」
「しょうがないから寝てあげる」
「りょうくんも素直じゃないなぁ」
**
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←寝たら即帰宅の旅��
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 274人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花 | 作成日時：2019年4月28日 14時
