【d!】内ゲバせぇへん！？４

134話 ページ6

前置きなしに腕に食い込んだそれに、思わず声を上げる。


『痛っ』

「痛いかい？そうかい。さて、どんな効果が出るかな？」


数秒して、指先がざわざわと少し痺れてきた。
これは緊張からか、それとも。


「君は薬の効きが悪いそうだからね。しっかり5人前分も用意してあげたよ」


独り言のようにそう言う。

少し、呼吸が荒くなってくる。
ドクン、ドクンと心臓が内側から胸を叩く。


「無論、オーバードーズには気をつけるさ。人質が死んでしまっては交渉材料にはならんからね。」


視野が急激に暗くなり、明るくなる。
ブワッと汗が吹き出す。


息が苦しい。



「おや、随分としおらしい顔だな。そちらの方が可愛らしいよ、A」

『うる、せぇ名前呼ぶな中年脂汗男』

「はは、口ぶりはまだ生意気だな」


汗が頬を伝う。
身体中が信じられないくらい痛い。

必死に目の前の男を睨んだ。


(キツい。流石にキツい)



「息が荒いね。そろそろ何か言う気にはなったかい？」

『言う訳ないやろってっ…！食害に比べたらこんなんおやつ見たいなもんや』

「ふ〜ん？その割には結構辛そうだけど？…いいね、その顔」

『キッショいねん悪趣味性癖捻じ曲がりジジイ。………痛っ』

「口の減らないやつだ。おかわりだよ」


舌打ちされ、急に顔を殴られる。
沸点低っ、何て思っていたらもう一本注射された。

脳の血管が破裂しそうで、思わず目を瞑る。



『くっ……ぅ』

「辛そうだね、可哀想に」


『黙…れ…！』



何かふざけた煽りの一つでも入れてやろうかと思ったが、流石に今は口答えもままならない。悔しい。無意識に唇を噛み締めていたようで、端から血が垂れた。


「あーあ、血が出てる。そんな哀れな君に一つ提案。聞いてくれるかい？」

『…！』



スッと人差し指を伸ばした男に、Aは目を向けた。

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