没分暁漢 (ページ5)

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｢おかえり…って、あんた顔変よ。｣

｢あぁ？あんたが産んだ子の顔やろ｣

家に帰っても今日のできごとが頭にこびりついて離れない。
湯船に浸かって息をぶくぶくさせたり、夜風に当たってみたり、顔面を枕に埋めてみたりしたけど何の変化もなかった。

一つ変わったとするならば弟に病院を勧められたことだけだ。

ー

「…、っん」

尋常じゃない暑さが続いて遂に俺はとち狂ってしまったのだろうか、

このモヤモヤをスッキリさせるために辿り着いた答えは我ながら最低だと思う。

思春期真っ只中だから、俺こう見えて彼女いないし。最近抜いてなかったし。

とにかく何でもいいから、この手が下の方へ伸びていく理由が欲しかった。

｢しょおっ…、ぁ…｣

気持ち悪い、吐き気がする。

快楽に導かれていく身体に反してあいつの名を呼びながら自慰する自分が。

それでもあの綺麗な顔を、
あのジリジリと心臓を焦がされるような熱い眼差しを思い出すと、どうしようもなく手は勝手に動いてしまうのだ。

虫唾が走るような嫌悪感と罪悪感は刺激が強くなる度に涙となって頬を伝い、一層肺が苦しくなった。

紫耀、紫耀…。

全部お前のせい。

俺を歪な形へと変えていくお前が、大嫌い。