没分暁漢 (ページ3)

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「平野ー！今週末空いてる？」

あの容姿と性格。
紫耀がクラスに馴染むのに時間はかからなかったし、一週間も経てばその席の周りにはいつも誰かがいた。

男も女も、皆恋したように紫耀に夢中だった。

だが一方で俺は友達に誘われても適当に理由をつけては屋上に逃げていた。

また依存して裏切られるくらいなら
もう一層関わらない方が安牌に決まってる。

そう思っているのに、それを許してくれなかったのは紫耀の方だった。

「れーん、帰ろ」

友達に困ることは無いはずなのに
帰る時は毎回隣に俺を置くのは何故、

ー

「あっつぅー。アイス買って」

「…やだ。」

「何でよまた今度返すからさ、
いいでしょ。ねぇ、」

返事を返さないでいるとそのごつい指が
肩にツンツンとちょっかいを出してくるので
しょうがなく折れてやる

「あぁーもぉ分かったから！
それやめろって！」

やったぁ、とはにかむ顔は懐かしくてあどけなくてその時の、俺と二人で帰る時の紫耀は、
俺が知ってる紫耀だった。