没分暁漢 (ページ16)

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｢だって前あんな事しちゃったしね｣

“あんなこと”

こいつもずっとそう意識してたのかと思うと
頭を上げることができなかった。

｢あ…いや、全然俺は気にしてないから｣

全然気にしてないなんて…

｢あはは、絶対嘘じゃん

真っ赤だよ。｣

ほら、と可愛らしい指に優しく耳を撫でられればまた心臓が飛び出しそうになる。後ずさりしようとするも今度は手首を馬鹿力が掴んで阻止された。

ぐっと引き込まれて目の前には反省するどころか、何かよからぬ事を考えてほくそ笑んでる綺麗な顔。

｢そうやってずっと意識しててくれた？｣

“俺のこと”

掠れた声の誘惑に思考回路が全開で警報を鳴らしている。

｢…ばっ、あほかそりゃただの友達にあんなんせんし…っ、意識っていうか…｣

だが自分で言っておきながら途中で心臓が一際大きく高鳴って思わず紫耀を見た。

｢よく分かってんじゃん。

そうだよ、

ただの友達にあんな悪戯する訳ないでしょ｣