野郎組の七瀬くん (ページ1)

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今日から新学期

心の中で、どうかあの人と同じクラスになれますようにと祈りながら学校へと足を進める。

｢Aちゃんおはよう｣

『おはよう七瀬くん！』

｢クラス替えどうなるかな｣

『今年も七瀬くんと同じクラスだといいのに』

勇気を振り絞って伝えると｢Aちゃん友達少ないもんな～｣なんて私の頭をぽんぽん叩きながら小馬鹿にした表情でこちらを見てくる。

七瀬誠くんは去年同じクラスだった人。

そして、私が片思いしている人でもある。

『七瀬くんのばか！！！』

恋愛対象として見られてないのは分かってるけど、本当に七瀬くんは乙女心を分かってないんだから。

「えー、友達少ないの気にしてた？」

見当違いのことを言い出す彼に怒った振りをして大きい歩幅で歩く。

まあ、足の長い彼はすぐに追いついてしまうんだけど…

私を追い抜いて学校に向かうのなんて容易なはずなのに、歩幅を合わせて歩いてくれる七瀬くんのそういう優しい所が好きだ。

｢ん？俺の顔に何かついてる？｣

キョトンとした顔でこちらを見る七瀬くんは、クールそうな見た目なのに表情がいちいち可愛いくてずるい。

『いや、七瀬くん足長いなって』

｢そう？ありがと｣

春休み中の部活でさ～なんて話し始める彼に、うんうんと頷く私。

このまま時が止まってくれればいいのに…そんなこと思っていても学校までの道のりはあっという間で

このクラス決めで私の1年が決まる。

『何組だろ…』

｢今年も一緒のクラスになれたらいいな｣

『…ね』

その言葉に嬉しくなってクラス表を見ていく

あ、私B組だ

｢Aちゃんは何組だった？｣

『B組…七瀬くんは？』

｢俺Ｇ組。離れちゃったね…｣

『教科書忘れた時貸してね』

クラスが離れてしまった悲しさを隠しながら少しの強がりでそんなことを言ったら

｢いっぱい借りに来て｣

そう言って目を細めながら七瀬くんが笑う。

いっぱい借りに来てなんて、まるで会いに来てと言われているみたい。
彼にとってきっと深い意味なんてないんだろうけど…。

そうやって無意識に思わせぶりなこと言って

七瀬くんてほんとずるい

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