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『これ…』
それを手に取ってよく見ると、中学校の校章の刻まれたボタンだった
通常のものと違って黒光りしたそれは、心臓の近くに縫われているボタン…つまり第二ボタン
この中学では、卒業後に第二ボタンを渡して告白するという日本の文化を知った、私達の何代も前の先輩達がやり始めたその卒業式ならではのイベントがある
それは後輩たちに引き継がれ、もちろん私達の代も真似をして告白する人達が沢山いた程だった
…つまりこれが意味するのは、告白
th「……ずっと、Aの事が好きでした」
ずっと聞きたくて、でも聞くことの叶わなかったその言葉
まさか数年たった今聞くことが出来るなんて思わなくて、頭が真っ白になった
『え、そんな…、だってあの日テヒョンは他の子に告白して…っぁ』
混乱して思わず口走ってしまった言葉にハッとして口を抑えた
th「A、それどういうこと?…もしかしてあの日先に帰っちゃった原因だったりする?」
『あ、いや、…えっと…』
どうしてこうも鋭いのか、スルーしてくれそうにはない
th「…A。どういう事なのかちゃんと教えて」
どう誤魔化そうかとしどろもどろになってるうちに痺れを切らしたテヒョンに促され、いい言い訳が思いつかなかった私は諦めて経緯を説明した
『…あの日、テヒョンを探してたら裏庭で告白してるテヒョンを見ちゃって…
それがショックで…そのまま帰ったの』
th「裏庭…?
あぁ!確かにそこで告白されて…でも俺断ったよ?」
『え、でも確かにテヒョンはその子に好きだよって言ってた』
th「うーん…、あ、言ったかも
…でもそれは」
______
「テヒョン!!好きです!私と付き合って!」
『…ごめん、俺好きな子居るから』
「私よりも?私この学校で1番美人なんだよ!?その私が告白してるのに断るの!?」
『え?うん
俺が好きな子の方が君よりも綺麗だよ』
「…誰よ、この学校の子?」
『うん』
「ほんとに私よりもその子のことが好きなの?」
『…うん、好きだよ』
「…ハッ、もういい、アンタみたいな顔だけで見る目のない男なんていらない!」
『こわぁ…、、もう、A待たせてるのに…』
______
th「って感じで…
A以外の女の子はやっぱりこわいなって再確認したよ
それ見てショックだったってことは…Aも俺の事好きでいてくれたの?」
………、つまり、私の勘違いってこと?
え?
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作者名:とまと | 作成日時:2022年2月12日 2時