初恋は叶わないって誰が言ったの？【TH】 (ページ15)

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th「今冬休み中で誰もいないから大丈夫だよ

Aもおいで」

『ちょっとテヒョン！〜っ！！もう！見つかったら捕まるよ！？』

門を開いてから校舎の方へと進んでいくテヒョンに、どうするべきか悩んだものの、やめる気配が無いので諦めて私も中へと侵入してしまった

もし誰かに見つかってしまったらヤバい、とバクバク跳ねる心臓がやけに煩く感じる

まさか大人になってからこんなことするなんて思わなかった…

th「…お、やっぱりあいてる
こっちこっち」

迷うことなく、保健室のある場所に向かい
そこの窓を開けて中に入っていくと、グラウンドから直接入れるようにと設置されてるドアからひょっこりと顔を覗かせた

『なんであいてるの！？…ねぇ、やばいって』

th「ひひ、ヨンジュ先生覚えてる？あの人まだここの保険医らしいんだけど、昔からここの鍵閉め忘れるんだよね〜」

『っ、…もう、どうなっても知らないよ』

悪戯に笑うその顔に、不覚にもキュンとしながら私も校舎の中へ侵入した

…それにしても、夜の校舎ってなんでこんなに怖いの？

非常口誘導灯の緑の光がやけに怪しげに見えて
スマホのライトしか灯りがないから、僅かな物音がするだけでビクッと体が跳ねた

th「大丈夫…俺が一緒に居るから」

そんな私の様子に、優しい声で言うとテヒョンの長い指が私の手を包んだ

暖かいその手と対象的に、やけにひんやり感じる指輪の感触のせいでモヤモヤとしたものが私の中で広がっていく

どうしてテヒョンは、私をここに連れてきたのか

どうしてその指輪をしてるのに、手なんか繋いでくれるのか

テヒョンが何を考えているのか、私にはわからなかった

パッと繋がれていた手が離されて、教室の中へ入るテヒョン
どうやら目的地に着いたみたいだった

俯いていた顔を上げて見ると、そこは私とテヒョンが仲良くなるきっかけとなった美術室

テヒョンが電気をつけたことにより、明るくなってはっきり見えるようになったその場所は、昔と変わらない雰囲気を保ちつつ
当時全て新品の物に取り替えられてピカピカだった石膏像達が、少しくすんでいてなんとなく、くたびれて見えた

『わぁ…、やっぱりここは落ち着くなぁ』

th「これって、Aが描いてくれてたやつだよね」

テヒョンが指さしたその先の壁にあったのは、誕生日プレゼントとして描いていたテヒョンの笑顔のデッサン

え…、なんでここに飾られてるの？
いつから！？

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