CHAPTER 02 無意味な殺人は無意味な殺人を呼ぶ ページ46
「はえ〜、Aちゃんがひとらんのね〜」
次配られる動機の内容を話し合ったが、分からないものを考えても無駄だった。
話が終わった途端ゾムくんは、肩の力を抜きながらそう言って深く座り込む。
「うん、驚いた?」
「すごく」
彼は足を組みながら答える。
「…でも、そうなると一つだけ変なところがあるんだよね」
「ん?一つだけ変?」
きょとんとした彼に、私は「うん、一つだけ」と頷いて繰り返した。
「何が?」
「今回の動機だよ。‘‘殺すべき人物’’って言い方で指名してたけど、あれって結局何が基準で決まってるんだろ」
私がそう尋ねると、彼は少し考える素振りを見せてから「…嗚呼、確かに」と言った。
ひとらんくんにとって殺すべきなのは、私のはずだ。
なのに彼の動機で指名していたのは、全く関係のない大先生。
お陰で彼は巻き込まれた上死んでしまったわけだが、何故大先生だったのかも分からず終いだ。
「ひとらんくんの動機が私じゃなかったことを考えると、過去の繋がりはあまり関係なさそう」
「かと言って俺らはここで初めて会ったわけやし、殺されるような理由なんて無いやんな」
「ましてやAちゃんに」なんて言う彼に、私の動機で指名されたのがゾムくんだったことを思い出す。
他の全員が、私とひとらんくんのような繋がりを持っているとも言い難い。
茶番ちゃんの動機は、ただのはったりだったのだろうか。
「俺らを拉致した奴はまだ一度も姿を見せたことがないし、この学園の何処にいるのかも分からない」
「何で拉致犯は私たちから隠れる必要があるの?」
「姿を見せると、きっと俺らが逆らうからや。形の見えない恐怖こそ人を支配できる」
拉致犯の真意も、この動機の意味も、犯人が見えたら分かるのかもしれない。
それだけ犯人は私たちから大きなものを隠し続けているのか。
そんな壮大なことをぼんやりと考えていると、ゾムくんが「案外口だけのロボロみたいなチビやったりしてな!」と冗談めかしく笑った。
茶番ちゃん越しだからこそ、想像は膨らむ。
確かにロボロくんみたいな身長の人なら、私たちは拍子抜けしてしまうだろう。
それなら隠れて姿を見せないのも分からなくはないと、私もつられて笑った。
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わたうさ@火星人☆(プロフ) - 名無しくんさん» ご愁傷様です…(´ー`;) (2019年9月23日 12時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
名無しくん - 推しが…死にましたぁ…(°▽°) (2019年9月23日 11時) (レス) id: f915d9c3de (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - 閑さん» はじめまして、いつも閲覧有難うございます!私も大好きで、d!様と原作者様には感謝しかないです…かたつむり更新ですが自分のペースで頑張ります!有難うございます! (2018年12月28日 14時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
閑 - はじめまして、いつも楽しく見させて頂いてます! d!もダンロンも大好きなので主さんには本当に感謝しかないです…これからも更新など頑張ってください (2018年12月28日 14時) (レス) id: 8c1224d0db (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - 蒼空さん» ひえええ!両方推しだったなんて!!今後名前だけでも沢山出します!!これからも閲覧お願いします!コメント有難うございます! (2018年12月15日 17時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
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