CHAPTER 02 無意味な殺人は無意味な殺人を呼ぶ 学級裁判後編 ページ36
私は電子生徒手帳のひとらんくんの写真を拡大した。
「ひとらんくんのボタンも、金色だから違う。そうなるとボタンの持ち主で残るのは、エーミールくんか大先生ってことになるけど…」
そう言いながら隣同士で立っているエーミールくんと大先生を見た。
エーミールくんは心配そうに、大先生は強張った顔で同じく私を見る。
「エーミールはさっき無実が証明されたばかり。消去法で、持ち主と同時に犯人は大先生ってことになるのか」
グルちゃんの言葉に、私は「そう」と返事して頷いた。
「捜査中に落とした、なんて言い訳はできないよ。大先生は捜査中ホワイトボードに近付いてないんだから」
「それに着替えに行くような暇もなかったよね」と私が言うと、大先生は俯いた。
俯いた大先生はそのまま、また深い溜息をついて頭を抱える。
誰もが次の言葉を待って彼に注目する。
ここでまた抵抗されたら、もう返すことはできない。
不安で心臓を鳴らしながら大先生を見つめていると、突然彼は「ハハハ…」と力なく笑った。
「そうだよ、俺だよ」
何故か口角が上がったままの大先生に、私は気味の悪さを覚えた。
すると大先生は「ああ、トンち強いな〜」とまた頭を抱える。
「…トントンが？」
「俺はどうやって欺こうか、どうやって平常心保とうかって必死やのに、トントンはこんなに責められても泣きも笑いもせんかった」
「情けないわ」と大先生は腰を曲げて顔を伏せた。
もし私が人殺しをして裁判にかけられ、見事見破られてしまったらどうだろうか。
きっと同じ立場だったであろうトントンくんや大先生を思い出して、ここに立っている彼らの気持ちを初めて知る。
耐え切れなくて泣いてしまうかもしれない。
泣いて、茶番ちゃんに命乞いをするかもしれない。
「まだ実感ないわ。げどちゃん殺したんも、今全員から殺人犯扱いされとんのも」
ここがこの学園の外の世界なら、どれほどいいだろうか。
逮捕された直後は、今の大先生と同じように笑うことしかできないだろう。
時間を掛けて考え直して、後悔して、罪を償おうと思えるようになるだろう。
しかしこの中での罪の償いは死のみである。
後悔する時間すらも与えられない。
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わたうさ@火星人☆(プロフ) - 名無しくんさん» ご愁傷様です…(´ｰ｀;) (2019年9月23日 12時) (
レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
名無しくん - 推しが…死にましたぁ…(°▽°) (2019年9月23日 11時) (レス) id: f915d9c3de (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - 閑さん» はじめまして、いつも閲覧有難うございます！私も大好きで、d!様と原作者様には感謝しかないです…かたつむり更新ですが自分のペースで頑張ります！有難うございます！ (2018年12月28日 14時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
閑 - はじめまして、いつも楽しく見させて頂いてます! d!もダンロンも大好きなので主さんには本当に感謝しかないです…これからも更新など頑張ってください (2018年12月28日 14時) (レス) id: 8c1224d0db (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - 蒼空さん» ひえええ！両方推しだったなんて！！今後名前だけでも沢山出します！！これからも閲覧お願いします！コメント有難うございます！ (2018年12月15日 17時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
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