自由行動 ページ22
調理場である厨房には少し不似合いな、書斎を思わせるような木製の本棚。
私は食器棚の隣に置かれていたその本棚の前で立ち止まると、並べられている本の背表紙に目を向けた。
厨房に置いてある分どれも料理本なのは予想通りなのだが、タイトルはどうも胡散臭いものばかり。
「絶望的おもてなし料理」や「一見体によさそうな朝御飯」などと書かれている。
絶望的？一見？何だこの余計な一言は。
そう思いながら私は目を細め、背表紙を一つ一つ眺めていく。
私は少々の不信感と多々の好奇心を抱きながら、一番近くにある一冊を手に取った。
案の定タイトルは「旦那に手抜きがバレない定番料理」と、あまり料理本のタイトルとしては相応しくなさそうなものである。
帯にはキャッチコピーとして「胃袋を握るような旨さ」と書かれてあった。
握る？掴むの間違いじゃないだろうか？
そう私は疑念を抱きながらも、適当に指が挟まったページを開く。
どうやらこのページに書かれているのは、カレーのレシピのようだ。
確かに作り方は非常に簡単な定番料理ではあるが、ライスと共にかき込むためボリュームも感じられる満腹料理。
ライスで食べなくとも、これ一つで幾らでもアレンジが可能な料理である。
「…ふぅん、レシピは案外普通」
置いてある本のタイトルがタイトルなだけに、中身への期待値も低かったのだが。
思いの外、内容は実用的である。
自分の家のカレーとは少し違う具材も入っていて、寧ろ料理の幅を広げる一冊かもしれない。
そう感心しながら何の問題もなく読み進めていくと、私はレシピの最後の一文に不審を抱いた。
直前までは普通にカレーのレシピを初心者でも分かるよう、丁寧に説明書きされていたはずなのだが。
何故かその後ろに「仕上げに香り付けとして青酸を入れれば出来上がり！」と書かれていた。
青酸って、まさかあの青酸だろうか。
私は自分の目を疑い三度読み返したが、やはりそう書いてある。
そしてページの隅に、可愛らしくデフォルメされた茶番ちゃんのイラストが書かれているのにも気がつく。
…つまり誘拐犯は、意地でも私たちの間で殺人を起こしたいらしい。
一体何のために、一体どうやってこの学校を用意したのか。
何一つ分かっていないが、それでも私たちはやけになって殺人を起こすわけにはいかない。
気を引き締め直すように、ふうっと軽く溜息を吐くと、私はそのレシピ本を本棚にしまい直した。
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わたうさ@火星人☆(プロフ) - blackappleさん» そのまま本家のキャラを持ってくるのもどうかと思ったので、茶番ちゃんにしてみました！体験版なのでストーリーは違いますが、本編もよかったら覗いてみてください！有難うございます！ (2019年8月15日 1時) (
レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
blackapple(プロフ) - モノクマさんまさかの茶番ちゃんですか笑すごく好きです！ (2019年8月14日 20時) (レス) id: a2bedeb8e6 (このIDを非表示/違反報告)
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