合わせ鏡としつこい男27 ページ8
「はい、こっちがAちゃんのな」
「ありがと」
買って来たシャーペンが入っているであろう紙袋の、片方を手渡された。
私は中身を軽く確認してから、その紙袋を鞄の中へ仕舞う。
もうすぐ閉園時間だからか、夕焼けの中、親子連れの客がぞろぞろと出口へ向かっている。
私たちは出口に一番近いベンチに座り込み、ぼんやりとそんな光景を眺めていた。
「…今日はありがとうな」
「っえ？」
「Aちゃんとデート出来るなんて、長く生きてても滅多にないやん？今日はまじでラッキーだったわ」
突然そんなことを言われ、私は目を丸くする。
確かに、合わせ鏡の霊に憑依されるなんてことがなければ、私たちは一度も会話をすることなく終わっていただろう。
ましてや鬱くんとデートなんて、誰が予想できただろうか。
私なんかとデートして、鬱くんがこんなに楽しそうに、嬉しそうに笑うなんて…。
「…ねえ鬱くん、一つ質問していい？」
「ん？なに？」
「どうして私のことが好きなの？」
そう尋ねると、彼は先程の私のように目を丸くした。
そして照れ臭そうにまた顔を赤くして、私から目を逸らす。
今の質問は鬱くんとしてではなく、‘‘合わせ鏡の霊に憑依された鬱くん’’として尋ねたものだ。
それは‘‘彼’’にも分かったようで、鬱くんはぽつりぽつりと話し出す。
「俺に気付いてくれるのは、いつだって君だけだから」
「………」
「俺が‘‘この体に慣れなくて’’道端で蹲ってた時も、他の奴らはみんな素通りしてった。なのに君だけは、俺に気付いて声を掛けてくれた」
そう言えば、道端で蹲っていた鬱くんに声を掛けたのが全ての始まりだった。
それ以来、私は彼に付き纏われるようになったのだ。
「俺がどんな姿でも一番に気付いてくれる君に、運命なんだって思った」
「う、運命…？」
「俺とAちゃんは、多少の違いなんて簡単に乗り越えられるくらい強い絆で結ばれてるって」
そう言いながら、私は鬱くんの姿をした‘‘彼’’に手を握られる。
私が合わせ鏡の霊の存在に気付いたのは、元々霊感が強いせいであって。
道端で蹲る鬱くんに声を掛けたのもただの偶然なのだが、今の彼には何を言っても無駄だろう。
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わたうさ@火星人☆(プロフ) - 千菜さん» うわぁい！そう言って頂けて何よりです！！！サブなので滅茶苦茶ゆっくり更新申し訳ないです(＞＜)無理はダメですね！でも頑張ります！！！ (2020年1月23日 0時) (
レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
千菜 - 凄く面白いです！！これからも応援してます！無理せず頑張ってください！！！ (2020年1月22日 23時) (レス) id: 36e14b459a (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - あめのこさん» 全部見て頂けるなんて！ありがとうございます！！ぼちぼち更新予定です！また読んで頂けるよう頑張ります！ありがとうございます！！ (2019年12月30日 1時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
あめのこ - 初めから読ませて頂きました！とっても面白かったです！更新楽しみにしてます (2019年12月29日 20時) (レス) id: 4131672505 (このIDを非表示/違反報告)
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