合わせ鏡としつこい男25 ページ6
真剣な顔をして言うから、何処に連れて行かれるのかと身構えていたが。
鬱くんに腕を引かれて連れられたのは、遊園地の出入り口付近に立つお土産屋だった。
「行きたいところって、此処？」
「記念に、何かお揃いのもんでも買いたいと思って」
…お揃い？
鬱くんはそれだけ言うと、真っ先に小物売り場へ向かう。
慌ててついていくと、彼は遊園地のマスコットキャラクターがついたキーホルダーを手に取った。
「キーホルダーは…あっても困るか。マグネットも使い道ないし…」
「うーん」と唸りながら小物売り場の前で蹲み込んでしまった鬱くんの隣に、私も軽く腰を折る。
お揃いのものを一つ買うだけで、そんなに悩む必要もなさそうだが。
私は側にあった子供向けのゴムボールを握りながら、鬱くんの前に掛かるハンカチを指差した。
「キーホルダーが駄目なら、このハンカチとかは？」
「いや、ハンカチも駄目。申し訳ないけど、俺って普段ハンカチ持ち歩かんから」
「我儘だけど、お互いに肌身離さず持ち歩くもんがいい」と唇を尖らせながら小物たちを見る鬱くん。
そんな言葉を聞いて、色んな女の子とデートをして来た彼の、不慣れさを初めて感じた。
「…他の女の子とデートする時、お揃いのものとか買ったりしないの？」
まさかと思い尋ねると、彼は恥ずかしそうに頷く。
「デートとか、俺が彼女の欲しいもんを買ってあげるばっかりやから。彼女の欲しいものと、俺の欲しいものが合うとは限らんし」
「じゃあ、なんで突然お揃いなんて言い出したの？」
「Aちゃんとなら、出来そうな気がしてん」
私となら？
訳が分からず首を傾げると、彼はまた恥ずかしそうに「ごめんな、変なこと言って」と頬をかいた。
「何て言ったらええかな…Aちゃん相手なら、どんな俺でも見せられる気がする」
「なるほど…？」
「多分、気を許せる相手って感じ？とにかく安心すんねん！だから一緒に居れへんときでも君を感じていたいって言うか…」
「………」
思わず黙り込むと、私の反応が悪いと感じた鬱くんの顔は途端に赤くなる。
そして長い前髪で顔を隠そうとした。
「ごめん！！なんか今の俺、ばりキショイな！！」
「今のは忘れて！」と狼狽する鬱くんを、私は見ていることしかできない。
それでも、彼が言いたいことは何となく分かった。
合わせ鏡の霊が取り憑いているからとは言え、鬱くんは生まれて初めて、本気で私と言う一人の人間を好きになったのだ。
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わたうさ@火星人☆(プロフ) - 千菜さん» うわぁい！そう言って頂けて何よりです！！！サブなので滅茶苦茶ゆっくり更新申し訳ないです(＞＜)無理はダメですね！でも頑張ります！！！ (2020年1月23日 0時) (
レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
千菜 - 凄く面白いです！！これからも応援してます！無理せず頑張ってください！！！ (2020年1月22日 23時) (レス) id: 36e14b459a (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - あめのこさん» 全部見て頂けるなんて！ありがとうございます！！ぼちぼち更新予定です！また読んで頂けるよう頑張ります！ありがとうございます！！ (2019年12月30日 1時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
あめのこ - 初めから読ませて頂きました！とっても面白かったです！更新楽しみにしてます (2019年12月29日 20時) (レス) id: 4131672505 (このIDを非表示/違反報告)
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