合わせ鏡としつこい男〜後日談〜 ページ12
結論から言うと、除霊は成功した。
あの日以来、廊下や移動教室で鬱くんとすれ違っても話し掛けられることはなくなったし、記憶は本当になくなってしまったようだ。
ぱったり途絶えた関係に、ゾムくんには「寂しいんやろ」と揶揄われたが、全くそんなことはなく。
寧ろ長い悪夢にうなされていたような気分から解放され、取り戻された日常に安堵している。
因みに言っておくと、私のファーストキスは今も健在だ。
私のキスの拒み様が相当だったらしく、「もしかして、他の好きな人のために大事にとってるんちゃうか」と検討外れな想像をしたゾムくんに助けられていた。
恐らく私と鬱くんの唇が触れてしまわぬ様、持っていたゴムボールで阻止してくれたのだろうが。
(目を開けて、ゴムボールを片手に立っているゾムくんを見た時は何事かと思った。)
合わせ鏡の霊は、私とキスできたとすっかり勘違いして成仏してしまったらしい。
私の平凡な日常が取り戻されたと言うわけだ。
それでも一つ気になることと言えば、
「最近、よく鬱くんと目が合う気がして」
「はあ」
私がそう言うと、隣を歩いていたゾムくんは心底興味なさそうな顔で私を見る。
「気のせいちゃう？」
「私もできることなら、気のせいだと思いたい…」
しかし鬱くんが視界に入ったかと思えば、此方をチラチラ。
移動教室の授業中、やけに視線を感じると思い振り向けば、鬱くんがこっちを見ている。
私の思い過ごしなら気持ちも楽なのだが、どうも見られている様な気がしてならない。
「ええやん、見るのはタダやし。俺も授業中はAちゃんのこと見てる」
「ええっ…」
「何の気無しに」
「それはそれで…ちょっとやめて欲しい」
「そんな気にすることないと思うけど」とゾムくんはポケットに手を入れながら、先々歩いていく。
そんな彼の背中を横目に、私は持っていた筆箱の中を見た。
霊が成仏したら、憑依期間の記憶は殆ど残らない。
…ゾムくんはそう言ってたけど、もし残っていたとしたら？
本当は、合わせ鏡の霊が成仏していなかったとしたら？
私の中の疑問は生まれるばかりで尽きない。
そんなことをゾムくんに言ったら「馬鹿馬鹿しい」だの「細かいことまで気にしすぎ」だの言われるに違いない。
腑に落ちないところは幾つかあるが、これ以上気にしても仕方がないだろう。
私は小さくなっていくゾムくんの背中を慌てて追いかけた。
鬱くんが、そんな私たちのやり取りを眺めているとも知らずに。
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わたうさ@火星人☆(プロフ) - 千菜さん» うわぁい！そう言って頂けて何よりです！！！サブなので滅茶苦茶ゆっくり更新申し訳ないです(＞＜)無理はダメですね！でも頑張ります！！！ (2020年1月23日 0時) (
レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
千菜 - 凄く面白いです！！これからも応援してます！無理せず頑張ってください！！！ (2020年1月22日 23時) (レス) id: 36e14b459a (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - あめのこさん» 全部見て頂けるなんて！ありがとうございます！！ぼちぼち更新予定です！また読んで頂けるよう頑張ります！ありがとうございます！！ (2019年12月30日 1時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
あめのこ - 初めから読ませて頂きました！とっても面白かったです！更新楽しみにしてます (2019年12月29日 20時) (レス) id: 4131672505 (このIDを非表示/違反報告)
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