CHAPTER 06 劣等生はタンポポを根から食う 捜査 ページ42
「それがゾムくんの思い出した記憶……？」
自身の逮捕歴を思い出すことは確かに大切なことだが、この学園とはあまり関係がなさそうだ。
そんなことを考えているとゾムくんは「いや、」とかぶりを振った。
「まだ続きがあんねん。しばらく入院して回復した後、大人たちに『お前を更生させるために学校へ連れて行く』って言われて……」
「…更生？」
「ごめん。それ以外は断片的にしか思い出せてへん」
そう言って失った右腕を包帯の上から撫でるゾムくんに、私は「ううん。それで十分だよ」と返す。
茶番ちゃんによって殺し合いが強制される生活が始まる前、私たちは確かにこの学園で生活していたはずだ。
つまりゾムくんの言う『更生させるために連れて来られた学校』とはこの学園のことを指しているのだろう。
そうなると‘‘この学園の正体’’もある程度分かってくるのではないだろうか。
一人で悶々と考え込んでいると、不意にエーミールくんが仕切り直すようにパンッと手を叩いた。
「ゾムさんの話にはまだ気になるところがあるけど……とにかく今はこの学園から出るのが最優先や」
「え、出口見つけたん？」
期待を持ったゾムくんの問いに、エーミールくんは首を横に振った。
とはいえ今のゾムくんには時間の猶予がない。
失った右腕の応急処置をしたとはいえ、またいつ容体が悪化するかも分からないため、一刻も早く病院できちんとした治療を受けなければならないのだ。
つまり三人が生きてここを出るという目標の前に、新たなタイムリミットという障害が現れたわけだ。
時間制限を設けられた途端、なんとも言えない焦燥感が私の中を支配する。
それは時として、普段では思いもよらないような大胆な行動への起爆剤となる。
「……それならもう、行くしかないよ」
逸る気持ちに背中を押され、歩き出した私の後を慌てて追いかけてくるエーミールくんとゾムくん。
「い、行くってどこに？」
「出口は見つかってないんやろ？」
二人の問いにも私は足を止めない。
ショッピくんの日記のお陰で見つけることができた隠し部屋にすら、出口らしいものは見つからなかったのだ。
タイムリミットすら抱えている今の私たちでは、きっとそんなものは見つけられないのだと悟った。
あるのかも分からない出口を探し続けて時間を消耗するより、正面から出て行く方が何倍も簡単に決まっている。
「もう一度、学級裁判をしに行くの」
私の言葉に、ゾムくんとエーミールくんは目を見開いた。
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わたうさ@火星人☆(プロフ) - 海月空麗さん» わわっ、お久しぶりです！コメントありがとうございます！かなり時間が空いての更新になってしまいましたが、長い間お待ち頂き本当にありがとうございます…！！次回から裁判に入りますので完結目指して少しずつ更新していく予定です！ (11月27日 14時) (
レス) id: c8d2ef1162 (このIDを非表示/違反報告)
海月空麗(プロフ) - 更新ありがとうございます！ついに最後の裁判でしょうか…！？続きがとっても気になります！ここまで壮大なストーリーを文字に起こすのはとても大変かと思いますが、本当にいつまでも待ち続けております！頑張ってください！！ (11月27日 7時) (レス) @page43 id: b999c1cd0b (このIDを非表示/違反報告)
そな(プロフ) - とても続きが気になります、すごく面白いです！更新待ってます (9月4日 0時) (レス) @page42 id: 8240083825 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - わたうさ@火星人☆さん» 返信ありがとうございます。創作論破の中でも凄く面白いので是非納得のいく完結を目指してください。小説のレベルも高く、ストーリー構成も良い。こんな創作論破早々ないです。本当に貴方は素晴らしいんです。自分あと50年くらいは待てます。何度も見返すほど大好きです (2023年4月3日 0時) (レス) id: 7eafda20b9 (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - 紅葉さん» この一ヶ月ほどは再始動に向けて執筆も再開したのですが、何度も過去の話を読み返しながら書いているため以前より筆が遅くなっています。 更新を再開して以降も一話ごとにお待たせしてしまうことも多いと思いますが、完結に向けて着実に書いていこうと思います！ (2023年4月2日 14時) (レス) id: c8d2ef1162 (このIDを非表示/違反報告)
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