CHAPTER 06 劣等生はタンポポを根から食う 捜査 ページ39
「ゾムくん、右腕がっ……」
右腕の切断面からぼたぼたと血が溢れ、彼の緑色のパーカーを赤に染めていく。
肉から神経、骨まで綺麗に切断されたその姿は、自身の右腕を切断して死亡したシャオロンくんの姿と重なった。
ゾムくんが死んじゃうっ！！
頭ではそう分かっていても、目の前で生気を失っていく彼の姿を受け入れるのが怖くて、指の先まで金縛りにあったみたいにピクリとも動かせずにいると、ゾムくんは呻きながら残った左手で血が止まらない右腕の断面を抑えた。
「ッゔ……うでっ、俺のうでがッ……！」
「触ったらあかん！！！」
右腕の激痛に背中を丸めるゾムくんを見て、弾かれたようにエーミールくんが彼に迫り、患部を抉ろうとする左腕を押さえつける。
ゾムくんは痛みで抵抗する力すら入らないのか、呆気なくエーミールくんに取り押さえられ、背中から床に倒れた。
その拍子に、彼の膝に乗せられていた右手がぼとりと私の目の前に転がり落ちる。
拾い上げようと震える手で触れると、まだ人間らしい体温が残っていた。
「ッ、……」
持ち主から離れ、無生物のようにまったく動かないにも関わらず、まるで人そのもののような温もりを持っていることに言い知れない気味悪さを覚えた私は、思わずソレを手放す。
ゾムくんの痛みに比べれば、なんてことない不快感が私の胃をぐるぐるとかき混ぜた。
「Aさん！」
ゾムくんを取り押さえていたはずのエーミールくんに名前を呼ばれ、私は驚いてびくりと肩を跳ね上がらせる。
目を向けると彼は、すっかり脱力して死んだように動かなくなったゾムくんを壁際に座らせていた。
「止血や！今すぐ、保健室から止血に使えそうなもん……ガーゼとか包帯持ってきて！！」
「っわ、わかった」
「後そこの右手も！念の為、袋に入れて氷で冷やしてきて！間に合えば再接着できるかもしれないから」
エーミールくんの指示に、自分でも顔が引きつるのが分かった。
彼の体温が残る腕にもう一度触るなんてことは二度としたくないと、私の本能が拒絶しているのだ。
しかし大切な友人を助けるために私が動かなければならないのも分かっている。
……吐きたいなら、ゾムくんを助けた後で好きなだけ吐けばいい。
なんとか自分に言い聞かせ、私はエーミールくんの指示通りに落ちた右手を拾い上げると、動かない足を無理やり前に出して保健室に急いだ。
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わたうさ@火星人☆(プロフ) - 海月空麗さん» わわっ、お久しぶりです！コメントありがとうございます！かなり時間が空いての更新になってしまいましたが、長い間お待ち頂き本当にありがとうございます…！！次回から裁判に入りますので完結目指して少しずつ更新していく予定です！ (11月27日 14時) (
レス) id: c8d2ef1162 (このIDを非表示/違反報告)
海月空麗(プロフ) - 更新ありがとうございます！ついに最後の裁判でしょうか…！？続きがとっても気になります！ここまで壮大なストーリーを文字に起こすのはとても大変かと思いますが、本当にいつまでも待ち続けております！頑張ってください！！ (11月27日 7時) (レス) @page43 id: b999c1cd0b (このIDを非表示/違反報告)
そな(プロフ) - とても続きが気になります、すごく面白いです！更新待ってます (9月4日 0時) (レス) @page42 id: 8240083825 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - わたうさ@火星人☆さん» 返信ありがとうございます。創作論破の中でも凄く面白いので是非納得のいく完結を目指してください。小説のレベルも高く、ストーリー構成も良い。こんな創作論破早々ないです。本当に貴方は素晴らしいんです。自分あと50年くらいは待てます。何度も見返すほど大好きです (2023年4月3日 0時) (レス) id: 7eafda20b9 (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - 紅葉さん» この一ヶ月ほどは再始動に向けて執筆も再開したのですが、何度も過去の話を読み返しながら書いているため以前より筆が遅くなっています。 更新を再開して以降も一話ごとにお待たせしてしまうことも多いと思いますが、完結に向けて着実に書いていこうと思います！ (2023年4月2日 14時) (レス) id: c8d2ef1162 (このIDを非表示/違反報告)
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