CHAPTER 06 劣等生はタンポポを根から食う 捜査 ページ13
懐中電灯の限られた光では先も照らし切れないほど、暗闇の続く階段。
この空間に、コツコツと階段を降りる二人分の靴の音が響く。
後ろでエーミールくんはずっと「まだ着かん？」だの「何か見えてきた？」だのうるさかったが、私は返事をする気分にはなれなかったため無視を決め込んだ。
そんなことより私は、置いてきてしまったゾムくんのことの方がよっぽど気になっていたからだ。
ゾムくんは、チーノくんの個室に隠し扉があったことなんて知らないし。
一言声を掛けるべきだったかと思い悩むが、あの茶番ちゃんとのやり取りに飛び込んでまで知らせる勇気はない。
この地下を調べ終わるまで、彼が無事ならいいのだが…。
そこまで考えて、懐中電灯を握る私の手に力が入るのと同時に、私の足の裏が階段の最下についたことに気がついた。
「あ、」
「っわ！ご、ごめん」
突然立ち止まった私の背中に、立ち止まり切れなかったエーミールくんがぶつかる。
慌てて私の背中から離れる彼に「着いたみたい」と、私は目の前を懐中電灯で照らす。
真っ黒な冷たい壁に、ついているセンサーのような機械がオレンジ色の小さな点滅を繰り返していた。
「…何これ、センサー？」
そう言いながら、オレンジ色の点滅を覗き込んだエーミールくん。
その瞬間、ピピッという音と共にオレンジ色の点滅が緑色に変わり、目の前の壁が上に上がっていった。
開いた壁の先には、研究教室ほどの広い空間が広がっている。
「すごい。なんで開けられたの？」
「分からん…でも多分、虹彩認証システムだったんかな…」
自信なさげに答えるエーミールくんに、私は首を傾げた。
…虹彩認証？なんでこんな地下に、エーミールくんの虹彩が登録されているんだ？
そう喉まで出かかった疑問をぐっと飲み込み、私たちは暗闇で慣れた目を細めながら壁をくぐり抜けた。
目の前には、壁一面に設置された大小様々なモニターと、それぞれのモニターに対応しているキーボードたち。
そのすぐ手前に、座り心地の良さそうな回転椅子が一台だけ置かれている。
入ってすぐ左の壁際に、よく知るものとは形や色違いの茶番ちゃんDXがずらりと並べられていた。
中には、申し訳程度のかわいい要素としてピンクの花柄のものや、操縦席が鉄で覆われているものもある。
思わず驚きと警戒で隣のエーミールくんに飛びついたが、操縦者がいないからか動きそうにはなく、安堵の息をついた。
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わたうさ@火星人☆(プロフ) - 海月空麗さん» わわっ、お久しぶりです！コメントありがとうございます！かなり時間が空いての更新になってしまいましたが、長い間お待ち頂き本当にありがとうございます…！！次回から裁判に入りますので完結目指して少しずつ更新していく予定です！ (11月27日 14時) (
レス) id: c8d2ef1162 (このIDを非表示/違反報告)
海月空麗(プロフ) - 更新ありがとうございます！ついに最後の裁判でしょうか…！？続きがとっても気になります！ここまで壮大なストーリーを文字に起こすのはとても大変かと思いますが、本当にいつまでも待ち続けております！頑張ってください！！ (11月27日 7時) (レス) @page43 id: b999c1cd0b (このIDを非表示/違反報告)
そな(プロフ) - とても続きが気になります、すごく面白いです！更新待ってます (9月4日 0時) (レス) @page42 id: 8240083825 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - わたうさ@火星人☆さん» 返信ありがとうございます。創作論破の中でも凄く面白いので是非納得のいく完結を目指してください。小説のレベルも高く、ストーリー構成も良い。こんな創作論破早々ないです。本当に貴方は素晴らしいんです。自分あと50年くらいは待てます。何度も見返すほど大好きです (2023年4月3日 0時) (レス) id: 7eafda20b9 (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - 紅葉さん» この一ヶ月ほどは再始動に向けて執筆も再開したのですが、何度も過去の話を読み返しながら書いているため以前より筆が遅くなっています。 更新を再開して以降も一話ごとにお待たせしてしまうことも多いと思いますが、完結に向けて着実に書いていこうと思います！ (2023年4月2日 14時) (レス) id: c8d2ef1162 (このIDを非表示/違反報告)
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