CHAPTER 06 劣等生はタンポポを根から食う 捜査 ページ12
扉を開け、エーミールくんは嫌に静かな廊下に顔を出す。
茶番ちゃんを警戒しているのだとすぐに分かり、私も彼の背後に隠れながら辺りを見渡した。
「よし、アイツはおらんな…」
「チーノくんの部屋はあそこだよ」
私が軽く指さすと、エーミールくんは私の腕を掴んだまま静かに部屋を出る。
そして足音も立たず廊下を走ると、チーノくんの個室に飛び込んだ。
パタンと扉を閉め、私たちは顔を見合わせて同時に安堵のため息をつく。
茶番ちゃんはいつも神出鬼没だし、何人いるのかも分からないため、これだけ警戒するのは当然だ。
「…本棚の裏、やったよな？」
エーミールくんは確認するようにそう呟くと、部屋の隅に置かれている空の本棚を動かそうと手を掛けた。
「日記、私が持つよ」と彼の左手に握られたままで、邪魔そうな日記を取ると、エーミールくんはしっかり両手で本棚を持ち上げた。
彼が隣の壁に本棚を移動させるのを見届け、先程まで本棚があった壁に目を向ける。
壁に歩み寄り、手で触れると、その壁がスライド式の扉になっていることに気が付いた。
「あった！壁と同化してて分かりにくいけど…」
「ほんまや、よく見ると扉になってる」
エーミールくんも壁に目を凝らし、扉を見つける。
扉を軽く指の背で叩くと、軽い音がした。
これは、一緒に部屋を捜索したゾムくんが見つけられなくても仕方がない。
むしろショッピくんは、よくこの扉の存在に気が付けたものだと感心してしまう。
「……開けるな」
「うん」
エーミールくんは緊張した面持ちで、手にかいた汗を服で軽く拭うと扉に触れた。
恐る恐る扉を指で滑らせると、思っていたより軽かった扉は簡単に開いた。
私とエーミールくんは、扉の先を覗き込み、思わず息を呑む。
扉の先にあったのは、下へ続く階段と、底も見えないほどの暗闇だった。
私たちは顔を見合わせ、エーミールくんはそっと扉を閉める。
「……」
「…………」
「…コレ、どこに続いてると思う？」
「地下、みたいだけど…」
そう答えると、エーミールくんは「…行く？」と私に聞き返してきた。
…彼はあまり行きたくなさそうだ。
しかしここまで来たら後戻りはできない。
私は「行こう」と頷いてから、突っ立っているエーミールくんを押し退けて扉をくぐった。
「ま、待って！」
階段を二段降りたところで、エーミールくんは慌てて私を追いかけてくる。
そして「足元、気を付けて」と彼のベルトに刺していた懐中電灯を、私に手渡してきた。
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わたうさ@火星人☆(プロフ) - 海月空麗さん» わわっ、お久しぶりです！コメントありがとうございます！かなり時間が空いての更新になってしまいましたが、長い間お待ち頂き本当にありがとうございます…！！次回から裁判に入りますので完結目指して少しずつ更新していく予定です！ (11月27日 14時) (
レス) id: c8d2ef1162 (このIDを非表示/違反報告)
海月空麗(プロフ) - 更新ありがとうございます！ついに最後の裁判でしょうか…！？続きがとっても気になります！ここまで壮大なストーリーを文字に起こすのはとても大変かと思いますが、本当にいつまでも待ち続けております！頑張ってください！！ (11月27日 7時) (レス) @page43 id: b999c1cd0b (このIDを非表示/違反報告)
そな(プロフ) - とても続きが気になります、すごく面白いです！更新待ってます (9月4日 0時) (レス) @page42 id: 8240083825 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - わたうさ@火星人☆さん» 返信ありがとうございます。創作論破の中でも凄く面白いので是非納得のいく完結を目指してください。小説のレベルも高く、ストーリー構成も良い。こんな創作論破早々ないです。本当に貴方は素晴らしいんです。自分あと50年くらいは待てます。何度も見返すほど大好きです (2023年4月3日 0時) (レス) id: 7eafda20b9 (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - 紅葉さん» この一ヶ月ほどは再始動に向けて執筆も再開したのですが、何度も過去の話を読み返しながら書いているため以前より筆が遅くなっています。 更新を再開して以降も一話ごとにお待たせしてしまうことも多いと思いますが、完結に向けて着実に書いていこうと思います！ (2023年4月2日 14時) (レス) id: c8d2ef1162 (このIDを非表示/違反報告)
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