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『ええか、元の姿に戻りたいんやったら婆さんを喰え。あの婆さんがいつ死ぬかも分からんし、兎に角早目にな』
そんな永久狐さんの別れ際の言葉を思い出して、私はジロちゃんを引くリードを握りしめた。
ジロちゃんの為を思えば、私も協力するべきなんだとは思うが。
なんだかんだ言ってあのお婆ちゃんには其れなりに良くしてもらっている。
ジロちゃんのお陰と言っては皮肉なものだが、事実ジロちゃん繋がりでお婆ちゃんとの会話も以前より増えた。
其れなのにお婆ちゃんが死ぬだなんて。
やはりやるなら、私が知らないところで全て事を済ませてもらいたい。
自分勝手かもしれないが、人間なんて所詮そんな考え方しか持たない生き物で。
野生本能のみで生きている動物と違って、其処は何処かドライである。
「…ねえジロちゃん」
「なんだ」
何故か不貞腐れたように歩こうとせず、私にリードを引かれて先程から地面に白いお尻を引き摺られているジロちゃん。
私の呼びかけにも歩こうとはせず、そっぽを向いたまま応えた。
「ただの興味本位なんだけどさ、今は小さなジロちゃんがどうやってお婆ちゃんを食べるの？」
そう尋ねると不意にジロちゃんの耳はぴくんと少しだけ跳ねた。
「人間とは、薄情な生き物だな」
「だって気になるんだもん…」
確かに人一人が死ぬ事だと言うのに興味を抱くのは、少し不謹慎だったか。
しかし子供は好奇心から成長していくものだと、以前お父さんに聞いた。
この私の薄情さは人間故ではなく、子供故か。
「喰うと言って、肉体を喰らう訳ではない。妖力を抜き取るだけだ」
「えっ、じゃあ残った体はどうなっちゃうの？」
「ただの肉塊だ、つまり人間で言う死だ」
あまり答えにはなっていないように感じたが、私は無理矢理理解したつもりになる。
そしてまた、私はジロちゃんに質問を返した。
「人間も妖力取っただけで死んじゃうの？」
「妖が妖力を抜き取られて死ぬのは、妖という存在自体が妖力によって作られた個体だからだ。それと違って人間には魂が存在するが、妖力と似たような性質を持つが故に妖力と共に抜けていくことが多い」
「だから人間も妖も、妖力取られたら死んじゃうんだ」
その肝心な妖力の抜き取り方は聞けなかったものの、其れだけで私が身震いするのには十分だった。
こんな可愛らしい見た目をしていても、元は妖。
そう思うと少しだけ、彼らの隣を歩くのが怖くなった。
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わたうさ@火星人☆(プロフ) - 773さん» 此方こそ丁寧にありがとうございます！そう言って頂けると幸いです！ただ拙い過去作が多いので、少し恥ずかしいですね(´ｰ｀) (2020年2月1日 11時) (
レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
773 - ご丁寧に返信ありがとうございます！作者様のセンスがとても好きなので、他の作品も拝見させて頂きますね^^ (2020年2月1日 2時) (レス) id: 05e1d06f85 (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - 773さん» コメントありがとうございます！今は更新予定ありませんが、作品を削除するつもりはないので気長に待って頂けると幸いです！ありがとうございます！ (2020年1月31日 9時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
773 - 三年前の投稿に申し訳ないのですが、更新を心待ちしています！ (2020年1月30日 6時) (レス) id: 05e1d06f85 (このIDを非表示/違反報告)
私@ウサギちゃん☆(プロフ) - 柑橘みかんさん» 本当ですか！こんな作品に時間を使って頂き有難う御座います！たまにしか更新はしていませんが、頑張ります！！ (2018年1月24日 6時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
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