6 ページ6
風呂から上がり牛くんの風呂を待ってから一緒に遊んだ為、ドライヤーで乾かさずとも気が付けば髪は乾いていた。
体の火照りも消え、湯冷めした気分。
牛くんに「自然乾燥は髪に悪い」と言われたが、どうせ髪の短い牛くんだってドライヤーを使ったことが無いんだ。
そして十時を回り、歯を磨いて寝ることにしたのだが。
眠れない、今に至る。
「…なんか眠たくない」
いや、「眠たくない」は少し嘘だったかもしれない。
狭めの部屋で、お父さん、お母さん、私で三つ布団を広げて眠るのに。
この春休み中お父さんは居らず、私とお母さんの布団二つだけなのだ。
その所為で部屋がやけに広く感じ、もう中三にもなるのに怖かった。
カーテンを閉めている所為で何の明かりも無く、目が慣れても何も見えないこの空間が。
枕元で充電していたスマホの明かりをつけて、隣で寝ているお母さんを踏まぬようゆっくりと部屋を出た。
するとリビングの扉が薄っすらと開いており、明かりが漏れていた。
暗闇に目の慣れた私は、眩しさに目を細めながら部屋に入る。
「あ？何だよ、まだ起きてたのか？」
「牛くん…」
そこには何やら作業をしている牛くんがいて、内心少し驚いた。
私と遊んだ後、私と一緒に歯を磨いていたからてっきり、私と同じ時間に寝たのだと思っていたからだ。
「…牛くん、寝ないの？」
少し寝起きを装うような話し方をしたが、まだ私が起きていたと分かっている牛くんには効果もなかった。
「ああ、爺さんに明日の下準備とか良く頼まれてさ。いつもこんなだ」
そう言って目線を私から手元に移す牛くんに「そうなんだ」と生返事気味に返す。
「明日」なんて言っているが、時計を見ると既に日付は変わっていた。
もし私がいつも牛くんみたいな生活をしていたら、きっと二日で体が持たなくなってぶっ倒れるだろう。
やっぱりなんだかんだで大人やってる牛くんは、凄いんだなって思った。
「んで、お前は寝ないのかよ」
「…眠れないから」
そう返すと牛くんは、途端に自分の座っている隣を叩き「ここに座れ」と無言で私に指示した。
それに従うと牛くんにぐしゃりと頭を撫でられ、少し狼狽える。
「眠たくなるまでの、話し相手にはなってやら」
そんな牛くんに、またも「もし私が牛くんだったら」なんて考えてしまう。
私だったらきっと早くに寝かし付けに行くだろう。
大人ってやっぱり、何処か違うものだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
私@ウサギちゃん☆(プロフ) - 彩＠いおさん» もう夏休みですもんね、書かないと最終日大変ですよ( ´・ω・｀) 私も昔、長期休みの日記が白紙で最終日に捨ててました… (2016年8月6日 12時) (
レス) id: 24b6d4d48a (このIDを非表示/違反報告)
彩＠いお(プロフ) - 夢主ちゃんが一行日記書いてる所で書いてないのを思い出してしまった……(´・ω・｀) (2016年8月6日 10時) (レス) id: 4d2fab738a (このIDを非表示/違反報告)
私@ウサギちゃん☆(プロフ) - ツバキさん» 読み易さに気を遣って書いてますが、そう言って頂けると嬉しいです！有難う御座います！ (2016年7月26日 21時) (レス) id: 24b6d4d48a (このIDを非表示/違反報告)
ツバキ - とても読みやすいですね♪( ´▽｀) (2016年7月26日 16時) (レス) id: 0d1dc4b4f1 (このIDを非表示/違反報告)
私@ウサギちゃん☆(プロフ) - 雨宮緋色さん» ゴリラだと違和感満載ですねw少し分かりやすい表現にしてみましたww (2016年7月25日 0時) (レス) id: 24b6d4d48a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
