黄色155 ページ5
『今日の都内の天気は、昼過ぎから雨に見舞われます。夕方過ぎから小雨になりますが、傘の要る一日となりそうです』
そんなニュースを聞いて、少しだけ動きを止める。
最近は餌を怠らないからか、やけに懐いた猫が、私の足元をちょろちょろと動いていた。
衛星写真だろうか、日本の大半を一見白く灰色の雲が覆っていた。
「…傘、あったかなあ」
ニュースでは昼過ぎから、なんて言っているが、なんだかんだで9時、10時頃からは降って来そうな空だ。
バターを塗りたくった食パンを咥え、下駄箱まで向かうと、傘立てには無造作に置かれたビニール傘と柄物の傘があるだけ。
生憎折り畳み傘は持っていないが、まあビニール傘さえあれば十分か。
ついてきた猫が、カタンと音を立てながら傘立てに喧嘩を売るのが見えたが、それは敢えて無視する。
此処で相手にしても、服に毛が付くだけで、後で取るのも面倒くさいし。
「…濡れるの、嫌だな…」
窓越しに灰色の雲を見て、思わず呟く。
正直雨の日は好き。
昔から、雨の日は嫌いな体育が無いから、雨の日のじめじめとした空気が落ち着くから、大好き。
でも、大きくなるにつれて、小学の時みたいにびしょ濡れでいることも出来なくなって。
中学の時は怒られたりもした。
だから濡れるのは嫌い。それは大分、都合が良いかもしれないけど。
「タオル、入れとこっかな」
いつも持って行く少し大きめの鞄にタオルを雑に詰め、それだけの軽装備に満足して準備は終わる。
グラス一杯の牛乳を一気に口に含み、喉を潤さずそれは腹だけを満たしていく。
「…あっ、忘れるとこだった」
スケジュール帳が目に入り、チョコレートの包み紙が散乱した机から取り上げて鞄の隅に詰めた。
昨日、スケジュールの確認に広げたまま寝てしまっていたんだ。
鞄を肩に下げ、体を屈めながらいつもの楽なスニーカーを履く。
ショップだからか、靴はスニーカーでもぺったんこパンプスでも構わないらしい。
「みー…」
「あ、着いて来ちゃ駄目だって」
今にもついて来そうな猫の背中を押すと、そのままパタンと扉を閉めた。
傘の所為か、どうも鍵を閉めるのにも荷物が多くて梃子摺ったが、まあ良いだろう。
いつもより薄暗い空の下、傘と鞄を片手ずつに私は歩き始めた。
338人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
私@ウサギちゃん☆(プロフ) - 千里さん» はい、安心してください!最終的にはレトルトさん落ちです!最終的には!更新頑張ります!有難う御座います! (2016年6月16日 21時) (レス) id: 24b6d4d48a (このIDを非表示/違反報告)
千里(プロフ) - 私@ウサギちゃん☆さん» で、ですよね!安心しました(震え声)更新楽しみにしてます笑 (2016年6月16日 19時) (レス) id: 2e848126ea (このIDを非表示/違反報告)
私@ウサギちゃん☆(プロフ) - 彩華さん» 最近やっと書き方が安定して来ましたが、まだまだです(・_・)そう言って頂けて嬉しいです!読み易ければ幸いです!有難う御座います! (2016年6月16日 6時) (レス) id: 24b6d4d48a (このIDを非表示/違反報告)
私@ウサギちゃん☆(プロフ) - 千里さん» 読み返すと自分でも不安になりますが、勿論レトルトさん落ちです!確かに最近キヨさん寄り…こ、此処からですよ、きっと(震え声) (2016年6月16日 6時) (レス) id: 24b6d4d48a (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - どーやったらこんな上手い文書けるんですか。(´・_・`) (2016年6月16日 0時) (レス) id: 2d791a81b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ